武田総務大臣になったらNHKがやりたい放題
武田総務大臣になってから、NHKがやりたい放題です。武田総務大臣は就任当初携帯料金値下げに注力し、NHK受信料値下げについては何も述べませんでした。その後10月13日、前田NHK会長と森下経営委員長にNHK受信料の値下げを要請したとの報道がありました。これは菅首相から「次はNHKをやれ」との指示に基づくものだとの報道もあり、NHKもあっさり値下げに踏み切るかなと思ったら、NHKは大反撃に出ています。週刊文春10月29日号で、前田会長は受信料の値下げに否定的な発言をしています。
この中で前田会長は、武田大臣の受信料値下げ要請について 「そりゃ言うよね、だって仕事だもの。そりゃ政治家のほうが性急だよね。経営をやってる側にすると、つまみ食いしちゃうわけにはいかないのよ。番組の質、保てないじゃない」と述べています。値下げ要請はまるで武田大臣のスタンドプレーと言わんばかりです。
同じ記事の中で前田会長は「(10月5日菅首相を訪ねたことについて)挨拶には行かないと。僕はいまNHKを改革しようとしている。それを理解してくれないと困るから」 ――「でも(菅首相は、受信料を)値下げしてくれ、とは言わなかったよ。値下げはできる状況になったらするし、最近でもそう言っている。ただ、中期経営計画には書いていない。いま計画を作っている途中で、値下げありきでやっていたら計画が組めないから。値下げありきで、番組の質が落ちたらどうすんのよ、と。番組を全部ボロボロにしちゃえば、値下げはすぐできる。コストをぐんと落として、半分以上を再放送にしちゃえばいいわけだ。だけど、それは違うでしょう」――と述べています。
これから前田会長は、受信料を払わされている人(受信料支払者)の気持ちが全く分かっていないことが分かります。受信料支払者の多くは、NHKは不要だと思っているのです。従って、番組の内容など関係ないのです。前田会長はテレビと言えばNHKの時代の人で、NHKは国民に必要不可欠のものだと言う認識だと思われます。しかし今の若者はネット中心でテレビは見ない人が多いのです。そのためネット端末として使う携帯電話料金が嵩み、NHK受信料はもう払えなくなっています。これは健康保険料や年金掛け金などの社会負担が上がり、資金繰りが厳しくなった家計も同じです。こんな状態は、前田会長のようにメガバンクの社長を務めた資産家には分からないのでしょう。だから前田会長の発言には、「たった月2,230円の問題じゃないの」という意識が垣間見えます。
この前田会長の発言報道があって程ない11月9日、総務省で開かれた「公共放送の在り方に関する検討分科会」においてNHKは、テレビを設置した人には設置の届け出を、設置していない人には「未設置の場合の届け出」を求める制度改正の要望 を行ったという報道です。これにより受信契約や受信料回収にかかるコスト約300億円が削減でき受信料の値下げにつながると言う理屈のようです。この天動説のような要望にはネットを始め各方面から非難轟轟です。NHKが生きていく上で必要不可欠ならば、このような高飛車な態度も分かります。しかしNHKはもう受信料支払者から必要とされていないのです。受信料支払者はスクランブル放送を望んでいます。スクランブル放送だとNHKと契約する世帯は今の3分の1程度に減少することが確実だからNHKは何としても今の受信料制度を守ろうと必死です。そしてこれを総務官僚と自民党の国会議員が守っている構図です。
今回の要望は前田会長の指示に基づいてなされたと思われます。そしてこの要望を行うことについては、担当の総務官僚と自民党の「放送法の改正に関する小委員会」に事前に話をし、承認を得ていると考えられます。これがNHKを怖い者知らずにしているのです。
高市前総務大臣は総務大臣を4年経験して放送行政に通暁し、NHK受信料問題の解決に向けてNHKと対決してきました。高市前総務大臣は今年の2月、受信料の値下げを迫るためNHKのネット放送に掛けるコストを受信料収入の2.5%に枠を嵌めましたが、NHKは高市総務大臣の退任が報道された日にこの枠を撤廃する方針を表明しました。まるで高市総務大臣への意趣返しのようでした。そして武田総務大臣になるのを待っていたような攻勢です。武田総務大臣はネット配信費用を200億円まで増やすことを認可する方針とのことです。菅政権では、実質的には菅首相が総務大臣を兼任し、放送や通信行政に疎い武田総務大臣は総務副大臣に相当すると考えられます。従って、総務官僚もNHKも武田総務大臣を舐め切っています。高市総務大臣の再登板を希望します。