公共料金の値上げラッシュが始まる

コロナで人の移動が制限された影響で、交通機関の業績が悪化しています。この9月中間期で見ると、ANAが-1,884億円、JALが-1,612億円、JR東日本が-2,643億円、JR西日本が-1,281億円、JR東海が-1,135億円の純損失となっています。都市圏の私鉄は鉄道が業績に占める割合が低いため、赤字の規模はここまで大きくないですが、東急が-271億円、阪急・阪神が-230億円の純損失です。今後コロナ感染が早期に収まるとは考えられず、また遠隔勤務など通勤しない勤務形態が増えると考えられるため、旅客の回復は緩やかとなり、回復してもこれまでのような水準にはならないと予想されます。そのため鉄道においては終電時間の繰り上げが発表されていますし、ANAとJALでは採用抑制や出向、リストラなどが発表されています。

これらにより来期以降の損益は徐々に黒字に転換すると思われますが、今年の巨額の赤字をこれまでの料金体系による来期以降の黒字で埋めるのははなはだ困難です。そのため、航空各社および鉄道各社は、今期の赤字を穴埋めできる黒字が出せるような料金体系に改定してくると思われます。その結果、航空各社や鉄道各社においては10%近い料金の値上げが行われると思われます。またJRにおいては、不採算路線の整理を一挙に進めると考えられます。これらが更に人の移動を減らし、遠隔勤務や勤務地の分散を進めることになるかも知れません。

現在菅政権は携帯料金の値下げ政策を進めていますが、その最大の根拠は営業利益率が20%と高いことです。公益事業の代表である電力の営業利益率は約5%であり、20%は儲け過ぎという訳です。しかし携帯キャリア3社が営業利益率を下げてくるとは思われず、逆に5G契約を増やすことに依って利益の拡大を狙っています。その結果携帯キャリア3社の営業利益率は来期以降もそんなに下がらないと考えられます。航空各社や鉄道各社の営業利益率は8%~15%でしたが、今後携帯キャリア3社並みの20%を目指すと思われます。コロナの影響でサラリーマンの収入は暫く上がらないと思われますので、これらの公共料料金の値上げが家計を直撃しそうです。その結果低所得家計の生活はますます困難となります。