武田総務大臣は電波利用料徴収権を手元において交渉しないと
携帯料金の値下げを巡る武田総務大臣とKDDIの高橋社長の間で、携帯料金値下げを巡り口喧嘩になっています。KDDIは武田大臣の値下げ要請に応じるとして10月28日、UQモバイルブランドで20Gバイト3,980円の料金を発表しました。これはこれまでなかった容量帯での新料金であり、大容量料金の値下げであると説明していました。これに対して武田大臣は当初、KDDIは「しっかり対応した。」と評価するコメントを発表しました。しかしよく考えて見れば分かることですが、携帯電話ユーザーの大部分は10Gバイト未満の使用量であり、これでは大部分のユーザーには値下げの効果は及ばす、逆にお得になった20G契約に誘い込む料金改定になっているのです。従ってこの結果家計の携帯料金支出は減るどころか増えることになるのは明白でした。武田大臣はKDDIとの関係を良好に保つためよく考えずに新料金設定を評価するコメントを発表したものと思われますが、ユーザーからの凄まじい反発に会い、もっと家計が実感できる値下げを求める方針に転換したようです。ここら辺が新米総務大臣で、自分の考えではなく菅首相から言われて値下げを叫んできた武田総務大臣の悲しさです。
そこで武田総務大臣はサブブランドではなく本体で値下げを迫る方針に転換したようです。前回のUQモバイルの新料金設定では、半年後には家計の携帯料金支出は増えていたという結果になり、菅政権への期待は失望に変わってしまいます。
これに対してKDDIの高橋社長が真っ向から反撃しました。当面本体では値下げはしないと述べ、更に「国に携帯料金を決める権限はない。」と述べたのです。これは国に喧嘩を売ったことと同じことです。確かに制度上国には携帯料金を決める権限はないのですが、KDDIは携帯電話の電波を国から借りており、携帯電話事業は武田総務大臣が言う通り公益事業であることは間違いありません。従って携帯電話事業で営業利益20%は儲け過ぎであり、もっと下げて欲しいという武田総務大臣の要請は当然のことです。これを「国に携帯料金を決める権限はない。」と返したからにはKDDIはそれ相当の覚悟が必要です。同時に国としても要請ではなく値下げを迫る実効的手段を用意する必要があります。
それは9月に菅首相が述べた電波利用料の引き上げです。携帯会社3社が料金を下げず今の利益水準を維持するのなら、国としては儲け過ぎと考える利益を電波利用料として徴収すればよいのです。ちょうどコロナの影響で税収が激減していますので、国庫にとっても有難い収入となります。これを携帯料金が下がりKDDIの私益が公益企業の水準(営業利益5%)になるまで続けます。そうすれば携帯料金は必ず適正水準まで下がります。
ここまで言われたからには、武田総務大臣は早速この仕組みを導入する必要があります。電波審議会で審議しても決まらないでしょうから、国会で特別法を制定すればよいと思われます。自民党議員にとっては次の総選挙で再選できるか否かを決める法案になると思われます。