菅首相、経験主義者の欠点が露呈

菅首相が12月14日夜銀座のステーキ店で二階幹事長ら8名で会食したのは、政府がコロナ対策として5名以上での会食は避けるよう国民に呼びかけていることと矛盾するとして批判されています。これに対して菅首相は官邸の記者の質問に「国民の誤解を招くという意味で、真摯(しんし)に反省している」と述べ、「他の方との距離は十分にあった」と釈明したということです。これなら他の人と距離を十分とれば5名以上での会食も良いということであり、政府として呼び掛けることはなかったということになります。

これに関して国会で質問された西村経済担当大臣は「一律に5人以上は駄目だと申し上げているわけではない」と述べています。確かに政府の呼びかけは理由の如何を問わず5名以上での会食は避けるようにとは言っていませんが、菅首相らの会食がやむを得ないものであったかどうかということになります。菅首相の会食のメンバーを見ると、俳優の杉良太郎さんや元司会者のみのもんたさん、ソフトバンクホークスの王会長ら高齢者であり、今一番会食は避けて欲しい人たちです。この人たちが感染したら重症化する可能性が高く、あっという間に重症患者用の病床が8つ塞がっていました。参加者の1人は会の主旨を忘年会と述べており、これこそ政府が5名以上での会食を避けることを求めたトップターゲットでした。西村大臣は菅首相を守ろうとしたのでしょうが、かえって菅政権は言うこととやることが違うという不信感を増幅させてしまいました。さらに加藤官房長官もこれに関して、「感染対策と同時に、いろいろな皆さんから話を聞くのは首相にとって大切だ。批判も考慮しながら進められるだろう」と述べ、菅首相は今後も5名以上の会食に出席することがあるとの方針を述べました。これに対してはネット上で、話を聞くのなら官邸やホテルの会議室、それこそ民間に求めているリモートで行えばよく、何も会食という形式をとる必要はないとの意見が続出しています。その通りであり、頭が良いと言われる加藤官房長官がこんなことが分からないとはちょっと信じられません。

菅官房長官はGoToトラベルやGoToイートの推進論者であり、これらが12月28日から来年1月11まで全国で停止されることになった際も最後まで反対していたという話です。そのため、年末年始の停止と影響が最も少ない時期を選んだものと思われます。しかしコロナ感染拡大の状況を考えれば、即座に停止しないと年末年始の医療現場が混乱する可能性があります。菅首相は医療現場の混乱よりもGoToトラベルやGoToイートの経済効果を優先したことになります。確かに経済を回すことは大切ですが、感染が拡大したら経済の回復は長引くこととなります。従って今は感染拡大の防止を優先すべきであり、収入が絶たれる旅行業従事者や飲食業従事者には支援金で対処すべきでした。菅首相は自助を強調するためか、支援金に消極的なように見えます。

今回のコロナへの対応で菅首相の特徴が見えてきました。1つは経験主義者であり、経験したことには信念をもって対処できるけれど、未経験のことには右往左往するということです。経験したことがないことは、答えが見つけられないように思えます。これは学力があまり高くない人の特徴でもあります。安倍前首相も同様でした。2つ目は説得する術を持ち合わせていないということです。それは菅首相のやることがバラバラの経験に基づいており、理論的に再構成されていないためです。そのため整然と説明ができず、国民向けの会見も避けているように見えます。国のリーダーが国を導くためには、国民に分かりやすく説明する以外に方法がありません。菅首相はこれを行わないので、国民の支持が失われるのは当然です。そしてやっと国民に方向性を示したと思ったら、自分はこれと違うことをやるというチグハグサです。まるで自分で落とし穴を掘って自分で落ちている感じです。このままこの状態を続ければ支持率が急落し、早々に政権運営に行き詰まると考えられます。