NHK受信料徴収を日本郵政に委託?武田総務大臣、これは愚案ですよ!
武田総務大臣がNHK受信料の徴収業務(たぶん契約業務も)を日本郵政に委託することを検討させているとの報道です。武田大臣としては妙案のつもりのようですが、とんでもない愚案です。以下説明します。
第1に、日本郵政に委託する最大の目的は回収業務にかかっている759億円のコストを減らすためということですが、日本郵政に委託してもこのコストは変わらないか、もっと上がってもおかしくないと思います。なぜならばやることは変わらないからです。やることが同じなら同じ対価を払うか、むしろ日本郵政の方が賃金の高い社員が多いためコストは上がると考えられます。従って回収コストの減少には繋がりません。
第2に、日本郵政の今の社員では受信料の回収は無理です。受信料は電気やガス、水道、電話代のように利用者がその支払いを納得している料金ではありません。また不払い者の多くはお金がなくて払えない人だと思われます。日本には年間所得200万円以下の人が全世帯の約20%います。この所得だと月2,170円の受信料の支払いはとても重いものになります。毎週の食費に相当する人も多いと思います。だから支払えないのは当然なのです。現在は受信料の回収を委託された人(回収員)がしつこく訪問し、これらの人からも回収しています。だから80%を超える回収率になっているのです。これを日本郵政職員がやるとなると、今の回収員のような回収(夜遅く何回も)はできませんから、回収率は大きく下落します。もし今の回収率を維持しようとすれば、現在委託している回収員に再委託するしかなくなります。そうなれば今の回収体制と何ら変わりません。
第3に、日本郵政が回収業務を行えば、日本郵政の本業および関連業務に多大な悪影響が及びます。受信料を支払わない人に強引に支払を求めるとトラブルになりますから、先ず近くの郵便局にクレームが行き、郵便局の業務に支障が出て来ます。また郵貯や簡保が解約される事態が生じます。現在は回収専門の業者が請け負っており、このようなことは起きません。銀行は不良債権を外部の回収専門会社に売却し、回収によるトラブルが銀行本体に及ばないようにしています。回収業務は日本郵政の本来業務と相容れません。
NHK問題の本質は、公共放送と言えない番組が大部分なのに公共放送と詐称し、高い受信料を踏んだくっているNHK制度にあります。これをスクランブル放送に変更すれば電気やガス、水道などと同じく納得のいく契約になります。またNHKを公共放送会社と民間放送会社に分割し、災害情報や国会中継、政見放送などの公益放送のみ国から公共放送会社に委託(税金で支払う)し、その他の放送は民間放送会社で有料契約に基づき行うことが考えられます。ほぼこの2つの内のどちらかに決めないといけない時期にきており、NHK問題は武田総務大臣が将来のこととして述べた燎原の火状態です。NHK問題が解決しないのは自民党がNHKを守っているためであり、次の総選挙では自民党議員に投票しない運動が巻き起こります。NHK問題は自民党撃沈を招く問題になっています。