地方創生臨時交付金とするからおかしな企画が出てきた
政府は「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」として3兆円の予算を確保し、地方公共団体に交付しています。その使途としては新型コロナウイルス感染症への対応として必要な、
Ⅰ.感染拡大の防止
Ⅱ.雇用の維持と事業の継続
Ⅲ.経済活動の回復
Ⅳ.強靭な経済構造の構築
を目的とした事業であれば、原則として使途に制限はないとしています。使途のⅠとⅡの使途は容易に出て来ると思いますが、ⅢとⅣは民間でもなかなかアイデアが出ない難題で、まして自治体では真っ当な事業は期待できません。
そこで自治体が取り上げた事業で問題となったものがあります。先ず佐賀県がこの交付金を使って「佐賀誓いの鐘」を県庁内に設置するという企画です。この鐘は熊本の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」の入所者が退所時に鳴らした「希望の鐘」のレプリカを佐賀県が2017年に同園へ寄贈したことから、同型の鐘を制作し県庁に設置するというものでした。この意図としては過去の差別に学んで新型コロナの偏見や差別の解消を目的としたと説明されています。これについては県民から「交付金の使い方がおかしい」、「税金の無駄遣い」と言う批判が出て、最終的には議会で認められなかったようです。
石川県能登町では幅約13メートル、高さ約4メートルのイカのモニュメントの制作にこの交付金2,500万円が充てられているということです。イカは同町の特産品で、そのモニュメントは、国が示した活用事例のうち「地域の魅力の磨き上げ事業」「地域の名産品の魅力発信事業」に該当し、コロナ終息後の観光の目玉にするためと言っています。これはそのまま続けられるようです。
この2つの事業は、急に臨時交付金の話が湧いて来て、大急ぎで基準に合うような企画を作り上げたという感じです。コロナ感染拡大によって自治体が困っていることと言えば、飲食店に時短を求める場合の補償金や宿泊客が減少した旅館などへの支援金であり、本来そんな住民に現金が行き渡るような使われ方をすべきものです。このようなおかしな企画が出てきたのは、この臨時交付金は内閣府の地方創生推進事務局が担当しており、地方創生にこじつけようとしたことが原因です。
こんな交付金を作るのなら、総務省からコロナ対策交付金として自治体に交付すればもっと有効な使われ方となったと思われます。