庶民の子供は大学入試を頑張り、富裕層の子供は中学入試を頑張る

1月16日と17日は大学入学共通テストの日です。1月7日に首都圏で緊急事態宣言が出され、外出するのが怖くなった中で、試験会場に行く受験生には心理的なストレスがかかると思われます。この共通テストの終了後には私立大学の入試が本格化しますから、受験生にとっては試験に合格する以前にコロナに感染しないことが重要になります。

これを考えると今年は大学付属高校に進学し大学に内部進学できる生徒や親は、付属高校に進学した判断が正しかったと得意になっているのではないでしょうか。早大や慶大でも入学者の半数近くが付属高校からの内部進学者になっています。内部進学者でも小学校から付属という生徒もいれば高校から付属と言う生徒もいます。小学校から付属と言う生徒はほんの一握りで一番多いのは中学から付属と言う生徒です。

東京都の場合、中学進学者の約2割は私立になっています。区によっては4割というところもあるようです。大学付属中学の場合、そのまま付属の大学に進学できることを売りにしているところが多く、難関大学合格を目指す中学とは違います。それでも早大と慶大は東大の次のランクの大学になっていますので、ここに無試験で内部進学できる特権は大変魅力的です。

これから始まる大学共通テストおよび個別の大学入試は、大学へ内部進学できる大学付属中学または高校へ進学しなかった学生で争われることになります。首尾よく合格した学生と内部進学してくる学生の学力差は相当なものであると予想されます。たぶん早大や慶大の場合、内部進学者が一般入試を受けて合格できるのは3割もいないのではないでしょうか。特に内部進学者の1割程度はFランクの大学にしか行けない学力だと思われます。従って学卒の採用に当たっては、早大および慶大の学生であっても内部進学か一般入試かチェックし、内部進学の場合学力のチェックが必要となります。

大学入学共通テストがあるため大学入試が話題となっていますが、同時期に私立中学の入試も行われます。日本の富裕層においては、こちらを重要視している人が多いのではないでしょうか。実は大学入試より中学入試で将来富裕層になれるかどうかの大部分が決まると言ってよいと思われます。多分大学医学部合格者の半分以上はこの私立中学合格者でしょうし、東大入学者の7割くらいもこの私立中学合格者だと思われます。そもそも私立中学進学者は小学校で成績が良かった子供であり、かつ小学3,4年生から塾に通って学力を高めた子供です。その子供が医学部や東大合格に向け研究し尽くされた6年間の教育を受けるのですから、たくさんの合格者が出るのは当然です。従って、富裕層が中学受験を重要視することは当然のことと言えます。それでも私立中学受験熱が高いのは、東京や大阪、名古屋およびこれらの周辺都市くらいでそれ以外の地方では有力な私立中学がそもそも存在しません。そのため公立トップ高校に入学し、医学部や東大を目指そうということになります。地方の公立トップ校からも医学部や東大に相当の合格者を出していますが、その後を考えるとやはり有名私立中高一貫校が2つの点で有利です。1つは、有名私立中高一貫校は6年間一緒に生活し、仲間意識が強くなるということです。それに東大に進学する生徒も多く、その場合大学の4年間が加わり10年間一緒に過ごすことになります。これがその後ビジネスなどの人脈においても強みを発揮します。2つ目は、地方の公立トップ校から東大に合格した生徒は、その高校でダントツの秀才のことが多いのですが、有名中高一貫校の場合100番くらいでも東大に合格できますから、東大に合格しても自分を秀才と思っていない生徒が多く、これがその後の人生でプラスに働きます。即ち、これらの生徒はエリート意識が少なく協調性が高い社会人になるということです。この2点で有名私立中高一貫校に進むことはメリットが大きいと言えます。従って、今後は地方の富裕層が子供を都会の有名私立中学に進学させる動きが強まると予想されます。