新聞は新聞社が読者にお金を払って読んでもらうもの
朝日新聞が2020年9月の中間決算で売上高が403億円(22.5%)減少し、約93億円の営業赤字となったという報道です。部数は9月末で497万部と前年9月から43万部(8.6%)減少しているだけですから、広告収入が大きく落ち込んだものと思われます。落ち込みの原因であるコロナの影響は後半期に更に大きくなりますから、通期の売上高は30%程度の減少、部数は20%の100万部程度の減少になってもおかしくないと思われます。
最近新聞全体の購読部数は毎年200万部程度減少しており今年もある程度減少することが想定されていましたが、営業利益がここまでの赤字になることは想定されていなかったと思います。朝日新聞は一昨年早期退職を募集しており、割増退職金や年金などの好条件が話題になりました。今となってはとても出せる条件ではないと思います。今後再度早期退職の募集が行われるでしょうが、前回の条件は何だったんだという条件になるはずです。
そもそも新聞は構造的に成り立たなくなって来ています。それは、新聞は宅配や駅売りが主であり、インターネットの発達によって情報伝達のスピードで太刀打ちできなくなってきたからです。また新聞を読まなくても多くの専門家がブログやSNSなどで情報を発信し、こちらの方が記者の原稿より品質が高いことも多くなっています。
それに新聞はこれまで読者が思ってきたように社会の公器でもないし、社会正義のために活動しているわけではないことが知られてきました。新聞記事の多くは政府関係者や国会議員、官僚、検察官が発表した内容を、彼らから提供された部屋に詰めている新聞社の記者が記事にしたものですから、情報元にとって新聞は便利な広報機関です。新聞社にとってもこれらの情報元は、新聞紙面を埋める大量の情報の出し手であり、情報源として精査が不要な便利な存在です。その結果持ちつ持たれつの関係が出来上がり、新聞は情報元と新聞社がグルとなって大衆(読者)をコントロールする手段となっています。この大衆コントロールの力を背景に新聞社は、これらの情報元から様々な利権を確保しています。例えば記者クラブであり、部屋であり、傘下民放の放送利権であり、消費税の8%据置特権などです。
このことを考えると、本来新聞社は政府や国会議員、官僚、検察などの広報機関として彼らから情報掲載料を徴収し、更に企業などから広告収入を得て、新聞は読者に無償で配布するというビジネスだと思われます。即ち新聞事業は、新聞の購読料を主な収入とするビジネスではないことになります。2020年9月中間期の朝日新聞の決算では、営業赤字の主な原因は広告収入の減少であり、このことを示しています。従って、新聞社が今後生き残るためには、新聞購読費をできるだけ値下げし、それにより購読部数を増やして広告収入を増やすしかないと思われます。そして行き着く先は、購読は無償、更には読者に新聞社がお金を払って読んでもらい、アンケートや調査に答えてもらう、読者に商品を売り込むというマーケティングビジネスになると考えられます。皆さん、新聞は購読するものではないですよ。