小林化工2月中旬業務停止?問題発覚したら即業務停止でしょ!
福井県あわら市の製薬会社小林化工が製造する爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入し、処方された患者が健康被害を受けた問題で、福井県は1月20日に同社から報告書を受領したことから、2月中旬に過去最長となる116日間の業務停止処分を決める方針とのことです。
この問題が発覚したのは昨年の11月下旬であり、12月4日には同社がこの事実を発表しています。発表以前に福井県には報告されているはずであり、福井県は12月初めにはこの事実を把握していたことになります。業務停止処分が2月中旬に下されるということは、同社が混入を認めているのに、福井県は業務停止にせず、ここまで業務を続けさせていたことになります。混入の事実が明らかになったことにより、他の薬の製造でも混入した可能性が考えられるわけだから、この時点で業務停止処分にしないと、同社では製造と営業が続けられ、危険な薬が患者に処方される可能性がありました。事実上製造も営業も停止状態だったと考えられますが、病院や調剤薬局には同社が製造した薬が在庫されており、患者に処方された可能性があります。事実同社は1月27日、国が承認していない製造工程や、出荷前後の品質試験が不十分だったことが判明したため、新たに22製品を自主回収すると発表しています。
なぜこんな馬鹿なことが起きるかと言うと、監督を行っている福井県の担当課に監督できる職員がおらず、名ばかりの監督になっているからです。薬は人の生命にかかわるものであり、製造メーカーには実効的な監督が必要です。例えば犯罪の容疑があれば担当である警察や検察が、脱税の容疑があれば税務署や国税局が、銀行に不正行為の情報があれば金融庁や日銀が調査に入ります。今回の睡眠薬成分混入の問題は、人の生命に直接的危害が及ぶ点では、前記の例より重大です。これに対して福井県が調査に入ったのは数日であり、調査報告はほぼ同社に丸投げです。これでは本当に全貌が解明されているのか怪しくなります。
それよりも処分が遅くなり、同社製品により被害が拡大する恐れがあります。この場合、問題が発覚した時点で業務停止処分として、全貌が解明され改善策が報告された時点で、改めて処分の内容を決めるのが真っ当な対処です。こうなっていないジェネリック医薬品に関する国の監督体制には重大な欠陥があると言えます。国とジェネリック医薬品業界で協力し実効的な監督体制を構築しないとジェネリック医薬品=危ない薬という評価が定着することになります。