MVNOは楽天モバイルの回線を借りればよい

1月29日楽天モバイルが新料金を発表しました。これまでドコモとソフトバックが20Gバイト2,980円、auが同2,480円の新料金を発表し、データ量無制限ながら2,980円の楽天モバイルは苦しくなったと言われていた中で、あっと驚く新料金となっています。ドコモ、ソフトバンク、auと競合する20Gバイトの料金は1,000円安い1,980円とし、それ以上は従来通り2,980円となっています。それ以上に驚かされたのは、ライトユーザーに対して極めて魅力的な料金を提供してきたことです。データ容量1G未満の場合、最初の回線は無料とし、2回線目からは3Gまで980円としています。お年寄りなどデータ通信は余りせず、万が一の連絡のためにスマホを所持してる人が多いので、老人に優しい料金体系と言えます。ユーザーの多くが期待していた料金体系になっています。

この結果、MVNOはどうなるのか心配する声が聞かれます。MVNOは通信回線を借りているドコモ、ソフトバンク、auが回線使用料を値下げしないため、対抗料金を打ち出せない状況になっています。更に総務省が昨年10月、回線使用料は3年掛けて半額下げると宣言していますので、値下げは緩やかなものになると思われます。これでは楽天モバイルの料金に対抗できず、廃業するしかなくなります。現在総務省が3社の回線コストを評価しているということですので、2月中には回線使用料の値下げが実施されると予想されます。それでも総務省と大手3社との癒着の強さを考えると、大幅な値下げになるとは考えられず、MVNOが苦しくなるのは避けられないと予想されます。

そこでMVNOの生き残り策ですが、楽天モバイルの回線を借りることが考えられます。楽天モバイルの回線コストは大手3社よりかなり低いと考えられますし、楽天グループの三木谷社長は自社のMVNO事業を見て「これでは奴隷と一緒」と言ったくらいですから、MVNOに高値で貸すとは考えられません。また楽天グループとしては、通信事業で利益を上げると言うよりは、通信事業は楽天経済圏の基盤事業として会員を増やすのに役立てばよいという位置付けだと思われます。そうだとすれば、MVNOに安い回線使用料で貸出し、MVNOのユーザーが楽天グループのサービス(カード、銀行、ポイントなど)を利用してくれれば良いことになります。このように楽天グループとしてもMVNOを取り込むことは大変メリットがあります。この点がMVNOを通信事業のライバルとして排除したい大手3社との違いです。この場合障害になるのは、楽天モバイルの通信網の弱さですが、これもこの夏には人口の96%のカバー率になるということですし、この4,5月にはプラチナバンドが割り当てられると考えられます。またMVNOの親会社(電力、スーパーなど)の協力が得られれば通信網の強化を更にスピードアップできます。こう考えるとこの夏以降楽天モバイルから通信回線を借りるMVNOが増加すると考えられます。これは通信の周辺ビジネスの拡大を目指す大手3社にも脅威となります。