菅首相の長男総務省幹部を接待、これが菅首相の共助?

菅首相の長男が勤務する会社が総務省の4人の幹部を個別に接待し、その場にその長男が同席したことが問題になっています。長男は放送映画関係の会社の部長で、子会社の衛星放送の役員に就任しており、衛星放送の許認可権を持つ接待に応じた総務省の幹部は公務員倫理規則に違反している疑いが濃厚のようです。

この長男は菅氏が総務大臣に就任すると25歳で大臣秘書官となり、そこで総務省の官僚と関係を作ったようです。その後秘書官を辞めて今の会社に入社したということですから、この入社も菅氏の影響力によると考えられます。総務大臣でなくなった後も菅氏は総務省に絶大な影響力を持っていたと言われていますので、この間も長男の会社は総務省の幹部の接待を行っていたことも考えられます。

菅氏は昨年9月に誰も予想もしなかった首相に就任していますが、その際2人の子供に関する報道は殆どなく、また菅首相は議員の世襲には反対していましたから、子供は完全に菅首相とは無関係に生きているとばかり思っていました。それが今回この話が明るみに出て、子供は安倍前首相と同じ親の七光りかと失望している人は多いと思います。長男が総務省の幹部を接待し始めたのは昨年10月からと言われており、菅首相が誕生して間もなくです。菅首相の長男からの招待となれば、幹部人事に重大な影響力を持つ菅首相も承知のことと考え、断る幹部官僚は少ないと思われます。首相就任祝いの雰囲気が残る抜群のタイミングと言えます。ただし、普通の人であれば、許認可にかかる事業を行っている者がその許認可官庁の幹部を接待すれば贈収賄の対象になることは知っているはずであり、もし接待が明らかになれば菅首相に悪影響が及ぶことは分かりますから、先ずやらないと思います。それが総務省の幹部を4人も、しかも複数回に分けて接待しているのですから、この長男は普通じゃないと考えられます。菅首相も子供の育て方を間違ったようです。

これは菅首相自身の成功体験がもたらしたものです。菅首相は大学卒業後小此木衆議院議員の秘書となり、小此木議員が通商産業大臣に就任した際には大臣秘書官になっています。その後この大臣秘書官という経歴が物を言って、横浜市議となり、市議としても役に立ったと思われます。そのため社会人経験も浅い長男を25歳で総務大臣秘書官にして、今後の人生の財産にしたものと思われます。首相に就任したときに政務秘書官に菅事務所の秘書を登用したのも同じ狙いで、今後横浜市議や神奈川県議などに立候補した際に役立つと考えてのものと思われます。今回の長男による総務省幹部の接待は、菅氏が長男を総務大臣秘書官にした狙いがものの見事に当たったことを意味します。長男には菅総務大臣元秘書官に加え現役首相の息子という肩書もできたのですから、鬼に金棒です。これは菅首相の子供への支援であり、菅首相言うところの共助のように思えます。

しかし今回の事件は菅首相にとっては晴天の霹靂だったと思われます。官房長官を長く勤め、安倍首相や自民党議員、官僚などの不祥事をもみ消してきた菅氏には、今回のような接待がどんな結果をもたらすか分かりますから、事前に聞いていれば許さなかったと思われます。

首相には国民に伝わる発信力が求められますが、菅首相には全くこれがありません。長い間官房長官を務め、記者クラブの記者と馴れ合いの会見をやってきた弊害が出ているものと思われます。この結果、菅首相の思考力の浅さや語彙の乏しさが明らかとなり、国民の失望を買っていました。その中で一部の国民からは、これは東北育ちの朴訥な性格のためという好意的な見方もありましたが、これが今回の長男の接待で吹き飛んだようです。

私は、消費税2%の引き上げに伴い家計の支出が5兆円増えることから、その対策として携帯料金を5兆円下げるべきと言う意見を4,5年くらい前からメールで内閣官房に数十通出し続けたところ、2018年8月菅官房長官が札幌の講演会で「携帯料金は4割下げる余地がある」(金額にして約5兆円)と発言し、取り上げてくれましたので(独りよがりかも知れませんが)菅首相には大いに期待していました。そしてもう1つ期待していたのがNHK改革でしたが、2月5日NHKの中期計画(2023年間から1割値下げ)を閣議承認したと言う報道ですので、空期待だったようです。こうなると次に菅首相に期待するのは、次の総選挙で自民党を大敗北に導いてくれることです