新聞、月1,000円以下の料金にしないと読む人いなくなる
2020年12月末の一般新聞紙の購読部数は前年より約280万部減少し、約3,500万部となっています。2000年の約5,400万部と比べると約1,900万部の減少です(率にする約35%の減少)。この結果全世帯に対する購読割合は0.61となっています。こうなると新聞に消費税の軽減税率を認めるのは6割の家計を優遇することになり、不合理ということになります。昨年のペースで減り続けるとあと13年で購読部数0となってしまいます。さすがにこれはないでしょうが、今の月4,000円を超える購読料ならば、前世帯の約3割の1,500万部程度まで減るのは確実のように思えます。
新聞を購読する世帯が減ったのは、インターネットの発達で翌日配達の新聞の情報では役に立たなくなったことが一番大きいと思います。それに本も読まなくなったことから、ボリュームの多い新聞を読むのがつらいと感じる人が増えていると思われます。また所得が増えない中で健康保険料や年金掛け金が上がり、携帯料金が膨らんだことから、家計が圧迫され、新聞代が家計のリストラ対象になっていると思われます。このような家計状況を考えるとまだ新聞を取っている6割の家計も今後止めるところが増えるのは確実です。
では今後新聞は無くなるかというとそんなことはないと思われます。やはり3割程度の世帯はこれまでの習慣から取り続けるでしょうが、その場合新聞の購読料は今の倍くらいに上昇し、新聞を取るのは富裕層の象徴になるかも知れません。
新聞購読部数の減少を止めるためには、購読料を月1,000円程度に値下げするしかないと思われます。月1,000円なら一般の家計でも継続購読できる金額です。この購読料だと宅配は困難で、ネット配信のみとなります。最近は以前のように満員電車の中で新聞を折り曲げて読む風景がなくなり、その代わりスマホを見ている人が多いという話ですので、新聞のネット移行は避けられないと思われます。
購読料1,000円で読者を3,000万人とすると3,600億円のマーケットとなりますから、今の新聞社もリストラの上生き残れると思われます。朝日新聞の2020年3月期の売上高が約3,500億円ですので、残った新聞社はこれまでのような取材体制はとれません。これまで新聞記事の9割は政府や中央官庁などの記者クラブの発表や企業広報からのリリース記事によるものであり、わざわざ記者を記者クラブに配置する必要はなく、広報記事を新聞社に送信して貰えばよいのです。そして1割の独自取材の記事を書く記者を確保すればよいことになります。そうすれば新聞社の要員は今までの10分の1で済みます。
収入源としては、1,000円の購読料の他広報記事を流す情報源(政府、中央官庁、警察、検察、企業など)から、情報掲載料を徴収することが考えられます。現在新聞は政府や官庁などの広報活動を代行しているわけだから、彼らから情報掲載料が取れるはずです。これはフリーペーパーと同じ理屈です。
これが新聞の未来であり、今後今の新聞社は、こういったインターネト新聞社や民放テレビ、賃貸ビルなどを持つ持ち株会社的なものになって行くと思われます。