2年縛りと9,500円の解約金に頼るドコモは一人負け

携帯キャリア4社の新料金が出揃い、いよいよこれからユーザー獲得競争がスタートします。既に予約を始めた会社もあり、好調という報道ですが、3月からはどこかの会社のユーザーが増えたらどこかの会社のユーザーが減るという形で優勝劣敗がはっきり出ると思われます。

私の予測では、NTTドコモの1人負けになります。ドコモは昨年12月3日に20Gまで2,980円という関係者がアッと驚く料金を発表しました。しかしこの容量のユーザーは全体の20%程度であり、多くのユーザーは恩恵を受けられません。それ以下の容量についてもその後発表しましたがさほどインパクトのない内容となりました。やはりこのボリュームゾーンは収益源として確保したい思いが強いようでした。ドコモの発表を受けソフトバンクは12月22日にほぼドコモに追随する内容の新料金を発表しました。ドコモが20Gまで2,980円の新料金をahamoという新ブランドでやるのに対し、ソフトバンクは合併したラインモバイルでやることにした違いがあるくらいでした。そして12月の発表で安値偽装料金という批判を受けたauは、1月13に名誉挽回の新料金を発表しました。auもドコモやソフトバンクと同じくオンライン専用申し込みながら、ドコモやソフトバンクの20G以下料金2,980円に含まれていた5分間の音声通話料金をオプションとして2,480円という新料金を発表しました。これに対して武田総務大臣がまたユーザーを誤解させる発表であると批判しましたが、これはユーザーにもメリットがある料金体系であり、ユーザーからは歓迎されました。

この大手3社に対して、容量無制限2,980円の料金で殴り込みをかけていた楽天モバイルは、殆どのユーザーが属する20G以下の料金で優位性がなくなり、回線の繋がりやすさで劣ることから、劣勢に立たされることとなりました。そこで1月29日に発表した新料金はユーザーを喜ばせるものであり、ユーザーが望む料金体系に近いものであったと思われます。それは契約としては1本であり、1Gまでは無料(1回線目だけ)、1~3Gは980円、3G超~20Gまでは1,980円、それ以上2980円というものでした。これは大変分かり易い上に、料金は大手3社より大幅に安くなっています。特に3Gまでのユーザーが全体の3割くらいを占め、かつ高齢者が多いため、社会的に有難い料金体系になっています。大手3社が収益源としていたボリュームゾーンで下げてきた社会的意義は大きいと思われます。この結果発表以降1週間程度で契約が30万件増えたようですので、如何にユーザーに歓迎されているかが分かります。恐らく1年間料金無料の300万人には2月中に達し、3月中に400万人のユーザー数になるのではないでしょうか。こうなるとこれまでの楽天の証券やカードなどの伸びを考えると8月まで7~800万ユーザー、年内に1,000万ユーザーが見えてきます。

この結果大手3社うちどこかの会社のユーザー数が減るはずですが、ドコモが一番多く減ると考えられます。と言うのは、ソフトバンクとauは各社の新料金に対する対抗策を速やかに打ち出してきていますが、ドコモは何もしていません。例えば楽天の1~3G980円に対してソフトバンクは家族割りなら900円という新料金を発表しています。これは学生は親が料金を払うため親と同じ回線を使うことが多いことを狙った囲み込み作戦だと思われます。これだと解約もしずらくなりますので、解約防止策でもあります。更に2月18日には、20Gまでもauと同じ2,480円のプランを発表しました。

こうなると学生などの若者はソフトバンクや楽天モバイルに流れることが予想されますので、ドコモとauからユーザーが流出することが予想されます。特にドコモは若者のユーザーの割合が低く、高齢者の割合が高いと言われており、NTTとの統合で若者のユーザーを増やしたいとしていましたが、逆に減ると思われます。ドコモの場合、高齢者と地方のユーザーを2年縛り契約・解約金9,500円で拘束してシェアトップを維持してきたと思われますが、地方のユーザーや高齢者は新しい機種の購入については子供に相談し、機種の使い方を教わりますので、携帯会社も子供たちと同じ会社に替えることになる(子供たちが手続きをする)と思われます。こうして高齢者も2年縛り・9.500円の解約金の拘束を解かれていきます。この拘束に嫌な思いをした(解約時期を逃した)ユーザーは多く、一度この拘束から逃れたユーザーは2度と同じ会社とは契約しません。即ち、ドコモとの2年契約を終えたユーザーは2度とドコモには戻ってこないというわけです。従って今度ドコモのユーザーは大きく減り続け、5年後には業界3,4位に転落すると予想されます。