官僚の接待汚職の蔓延は安倍政権の走狗となった検察が招いた
2月24日、総務省の官僚11人が東北新社の接待を受けていたことが国家公務員倫理規定違反に当たるとして処分されたのに続き、2月25日には、農水省の事務次官以下6名の幹部が贈収賄罪で起訴されたアキタフーズの役員から接待を受けていたとして同規定違反で処分されました。農水省の処分は、総務省の処分のどさくさに紛れて行われたもので、周到に準備されたものと思われます。
今回明らかになった総務省と農水省幹部の接待汚職は氷山の一角の思われ、中央省庁では接待汚職が蔓延していると思われます。次は自分がチクられるのではとびくびくしている官僚が多数いるはずです。
ではなぜこのような状況になったかというと、それは安倍首相の嘘で固められた政権運営と安倍政権の走狗となった検察が招いたものです。安倍首相は加計学園問題では加計理事長は友人で何度か会っているが獣医学部新設の話は一度もしていないと答弁していました。今回接待に応じた総務省の幹部が弁明している内容と同じです。総務省の幹部は国会でこの旨答弁し、後日話題にしている録音テープが公開され、嘘がばれました。森友事件の際には、財務省の佐川理財局長が経緯を記録した議事録は破棄したという直ぐに嘘と分かる答弁をし、それを麻生財務大臣と安倍首相が追認しました。その後告発を受けた大阪地検特捜部が捜査した結果、改ざんされた議事録が存在することが分かりました。これは公文書偽造罪の典型的な例であり、普通なら起訴間違いなしでしたが、安倍政権が検察幹部に圧力を掛け、国税庁長官に昇格していた当時の佐川理財局長は辞任、関係幹部は処分することを引き換えに不起訴となりました。これが官僚汚職開始の号砲になったと思われます。公文書偽造をやっても処分されない、処分されても昇格には関係ないと分かれば誰だってルールなど守らなくなります。そして止めが黒川東京高検検事長の違法な定年延長でした。公文書偽造の不起訴やその前の自民党甘利議員の不起訴などに貢献があった黒川検事長を何が何でも検事総長にするため、安倍首相は検察庁法に定める高検検事長63歳の定年を解釈変更により65歳まで延長するという法治主義国家を否定する手段まで繰り出しました。この目的は安倍首相の桜を見る会疑惑をもみ消すためであったことは昨年この件で安倍事務所秘書が起訴されたことで分かります。
このように安倍政権時代には、法律に従い業務を行う官僚にとって、仕事の拠り所が分からなくなる事態となりました。こうなると、法律は紙に書かれた抽象的存在であるため、歯止めが利かなくなります。この結果、先ずは国家公務員倫理規則という法律より一段低いルールがないがしろにされたものと思われます。即ち、業務上の受託を受けなければ接待は受けてもよいと言う風に運用されるようになったと思われます。これによって現在国家公務員倫理規定は有名無実化していると思われます。それと同時に目に余るのは、官僚が監督先の企業に天下ることです。携帯電話やNHKを見れば分かるように、携帯電話料金やNHK受信料で家計が苦しむのを横目に、担当官僚は携帯3社の利益極大化やNHK受信料の増収政策を推進しています。これは将来携帯3社やNHKに天下るための利益供与(贈賄)です。そして見返り(収賄)は天下りです。これで退官後には数億円の収入が確保されます。これは実体的には事後収賄罪に当たりますが、在職中の贈収賄罪と比べて立証が難しくなることから盛んに行われていると思われます。これの先鞭を付けたのが元総務事務次官から電通に天下り、現在副社長を務める桜井俊氏です。桜井氏は、総務省在職中は通信政策の中枢を歩み、現在の携帯3社による家計収奪の仕組みを作った人です。これは本人も自覚しており、携帯3社も認識していたと思います。しかし携帯3社に天下るとあまりにも露骨なため携帯3社の宣伝部的な役割を果たし、携帯3社から巨額の宣伝費が流れ込む電通に席を用意したと思われます。電通も中央官庁の補助金交付事務受託の拡大を計画しており、桜井氏は好都合な人物でした。この結果、今では総務官僚の頂点は事務次官ではなく、電通副社長になっていると思われます。この目標があるため総務官僚は携帯3社やNHKへの便宜供与に努めることになります。
国民への奉仕者である官僚がこのように国民を犠牲にして自己利益の極大化に走り始めたのは、安倍首相によるモラル喪失政治が最大の原因ですが、その次に責任があるのは官邸と取引し法律執行をゆがめた検察です。官僚の汚職蔓延は森友事件で公文書偽造が起訴されなかったことから始まっています。だから官僚の汚職を終わらせるのは、検察の厳格な汚職摘発しかありません。