黒川元検事長再処分で明らかとなった検察の汚職体質
3月13日の読売新聞電子版に東京地検が黒川元検事長を略式起訴する方針を決定したとの報道がありました。検察審査会が起訴相当の議決をしたのが昨年12月8日ですから、既に3カ月以上経過しています。ほとぼりが冷めるのをじっと待っていたものと思われます。
私がこの報道に接して一番びっくりしたのは、処分が正式に決定し公表される前に新聞で報道されたことです。新聞記事によると情報源は「検察関係者によると」となっています。検察関係者と言ってもこの問題に関わっているのはごく少数であり、東京地検の数人に限定されます。この人たちが東京地検内で正式に決まっていない情報を新聞記者に流したことになります。これは公務員の守秘義務違反であることは明確です。このことは検察官という法を取り締まる立場の人なら重々知っていることです。黒川元検事長が賭けマージャンは賭博罪になると重々知っていながら賭けマージャンを続けていたのと同じ体質から出ています。即ち、黒川元検事長の賭けマージャンと今回のリークは同根であり、検察の汚職体質の発露ということが出来ます。これを放置すれば、公務員の守秘義務は有名無実化しますので、リーク者は厳罰に処する必要があります。
又黒川元検事長と一緒にマージャンをしていた新聞記者ら3名について検察審査会は不起訴不当の決議をしましたが、東京地検は再処分でも不起訴とするようです。検察審査会が本当に検察の不起訴が不当だと考えるなら、起訴相当決議をしないと意味が無いことを証明しています。今後検察審査会の決議は、不起訴妥当か起訴相当決議のどちらかとし、不起訴不当決議は無くした方がよいと思われます。それと黒川元検事長の賭けマージャンの共犯は新聞記者でしたが、今回のリークの相手も新聞記者です。これで分かることは、検察官は情報操作に新聞記者を利用し、新聞記者は情報源として検察官を利用しているということです。今回の検察官によるリークは公務員の守秘義務違反であり、新聞記者は違法な取材行為をしたことになります。これは新聞社の取材規範でも許されていないはずであり、新聞社はこの記者を処分すべきだと思います。
報道によると黒川氏は略式起訴となるようですが、これも不起訴にすると検察審査会は再度起訴相当の決議を行い、その結果黒川氏はもっと重い罪(常習賭博罪)で起訴されることになる可能性が高いため、これを避けたものと思われます。なんと黒川元検事長も同意していると報道されていますから、事件の処分を決める前に犯罪者の同意をとるという前代未聞のことを行っています。本件に関して東京地検には、公正に法を執行する姿勢は皆無です。
これが分かれば、検察官に犯罪の疑いがある場合は、弁護士からなる独立検察官を指名し、独立検察官が捜査、刑事処分を行うことにする必要があります。それか検察官に関する検察の処分については、処分内容についても検察審査会が審査できるようにことです。
現在総務省幹部の接待汚職が明らかになっており、これは中央省庁全体に蔓延している可能性が大ですが、これは安倍政権時代に政権の圧力に負け法の執行を捻じ曲げた検察汚職が源になっています。政権が変わって検察のこの体質は変わっていないことが黒川元検事長の再処分と情報リークで明らかになりました。今後公正な法の執行は、検察ではなく検察審査会に期待するしかないと思われます。