メガバンクの採用から大学の評価が分かる

DIAMOND ONLINに2020年3月期にメガバンクが採用した学生の大学ベスト10が掲載されていました。ここに日本の大企業の採用方針と大学に対する評価が集約されていると思われますので、ご紹介します。

先ず三菱UFJ銀行ですが、慶大65人、早大50人、一橋大22人、東大20人、同志社18人、阪大17人、名大15人、京大15人、明治15人、関西学院15人となっています。1位の慶大と2位の早大にはっきりした差があり、早大より慶大を評価していることが分かります。一橋大、東大が3位、4位なのは学生数が少なく応募する人数が少ないことが影響していると思われます。三菱UFJ銀行は、東京が本拠の三菱銀行と大阪が本拠の三和銀行、名古屋が本拠の東海銀行が合併しているため、関西の大学(同志社、阪大、京大、関西学院大)や名大からもまとまった人数採用しています。

次に三井住友銀行です。慶大66人、早大65人、阪大39人、神戸大37人、京大33人、東大31人、同志社28人、関西学院28人、明治25人、立教18人となっています。ここは慶大と早大がほぼ同数であり、この両大出身者を競わせる意図だと思われます。また東大と京大、阪大と神戸大についてもほぼ同数であり、同様の意図だと思われます。どこまでも競争させるという三井住友銀行らしい採用の仕方です。東大は31人と三菱UFJ銀行の22人を上回っており、東大生にとっては三菱UFJ銀行より三井住友銀行の評価が高いようです。三井住友銀行は大阪が本拠の住友銀行と東京が本拠の三井銀行、および神戸が本拠の太陽神戸銀行が合併しており、関西の大学からの採用が多くなっていること、それも神戸大が多くなっているのが特徴となっています。

最後にみずほ銀行です。慶大59人、早大54人、同志社29人、立命館26人、青山学院24人、明治23人、中央19人、法政19人、関西学院17人、学習院15人、立教15人となっています。慶大と早大が1,2位なのは三菱UFJ銀行、三井住友銀行と同じですが、それ以下の採用大学が様変わりしています。東大、京大が10位までに入っておらず、10位まで全部私大であり、MARCHや関関同立が主力になっていることが分かります。学生の人気では、3メガバンクの中でみずほが一歩後退していることが分かります。これはプロが考える銀行の実力に近く、学生の企業分析もなかなかのものということが出来ます。

ここで私が注目したのは、北海道、東北、九州地方では断トツの存在である旧帝大系の北大、東北大、九大がメガバンクの採用10位以内に入っていないことです。これらの大学がある地域にはメガバンクの支店の数が少ないことも原因ですが、もう1つはこれらの大学の学生の能力(学力+社会的適応力)がMARCHや関関同立以下という評価が定着してきたからだと思われます。企業において必要な学力は私大の3教科型で十分であり、MARCHや関関同立は3教科でみればこれらの旧帝大系大学と変わらないか上回るという評価になっています。地方では、旧帝大系大学はMARCHや関関同立よりはるかに上との神話がありますが、企業に就職するなら、そうではないと考えた方がよさそうです。また、就職したい企業の本拠があり営業所数が多い地域の大学に進学することも重要となります。例えば、九大と神戸大はほぼ同じ偏差値のようですが、三井住友銀行を見れば分かるように採用数で神戸大が圧倒的に多くなっています。これは商社の採用でも顕著です。これから地方国立大学は地方活性化の観点から定員が増え入りやすくなるようですが、企業への就職を考えたら、私大や入りたい企業の本拠がある地域の大学に進学するのが良いことになります。進学する大学も将来就職したい企業を決めてから決めた方がよさそうです。