総務官僚の目標は電通副社長に天下ること

現在国会の審議の中心は総務官僚がNTTから接待を受けていた件が中心になっています。

携帯料金が高止まりし、携帯3社(ドコモ、au、ソフトバンク)が家計から約14兆円搾取している背景には、監督官庁である総務省の官僚とNTTが密接不可分の関係にあることがあります。この関係は兄弟の関係、家族の関係と言えます。NTTは旧電電公社が民営化されたものであり、その当時の監督官庁は郵政省でした。その後郵政省は行政改革により自治省、行政管理庁と統合し、現在の総務省となっています。現在NTTから接待を受けていたとして名前が挙がっている官僚は、旧郵政省時代から通信・放送政策を担当してきた官僚であり、NTTの幹部とは顔なじみです。従ってNTTの接待は家族の会食のようなものであり、なんで騒ぐのか分からないというのが彼らの素直な感想だと思われます。彼らとNTTが密接な関係にあることから、菅官房長官が携帯料金の4割値下げを指示しても、全く成果がありませんでした。昨年NTTがドコモとの合併を条件にahamoブランドで20Gバイトまで2,980円という料金を打ち出しましたが、これはネット手続き専用であり、これができるのは一部の若者などネットやスマホに習熟したユーザーに限定されます。またメールが使えない、家族割りが適用されないなど現在使用しているプランより不便、不利になる条件を入れ込み、移行を躊躇わせる内容になっています。それにスマホユーザーの7割は6Gバイト以下の容量で済むと言われおり、この層には全く値下げの効果はありません。むしろこの層からの契約切り替えを狙ったプランと言えます。そしてソフトバンクとauはほぼドコモと横並びのプランを出し、3社間で乗り換えがおこることを防いでいます。

これは今問題になっている総務省の官僚と携帯3社が綿密に協議して打ち出したプランです。ようするに総務省の担当官僚に家計の負担を減らそうという意識が全くないのだから、家計に幅広く値下げの恩恵が及ぶ値下げになるはずがありません。それは官僚になってからの習慣であり、退官後には通信・放送業界に天下るレールが敷かれているのですから当然のことと言えます。これらの官僚が総務省在職中にやっていることは、退官後に天下ることになる通信・放送業界が儲かる仕組み作りであり、その結果当然の権利として通信・放送業界の企業に天下ることになります。この実態は在職中に通信・放送業界(企業)に利益を供与し(贈賄)、天下りによって見返りの利益を得る(収賄)ことであり、事後収賄そのものです。

これがこれだけ大手を振って行われるようになったのは、総務省で通信・放送部門の中枢を歩み事務次官までなった桜井俊氏が2018年1月に電通に天下ってからです。電通と言えば放送業間の中心企業であり、通信業界とも広告を通じて深い関係があります。桜井氏のような通信・放送業界への貢献が大きい官僚が天下るには、これ以上の企業はないと言えます。桜井氏は電通執行役員から取締役となり、2019年9月桜井氏を総務省事務次官に昇格させた高市早苗衆議院議員が総務大臣に返り咲くと間もなく持ち株会社電通グループの副社長に就任しています。これは覚えが良い高市総務大臣に接触して携帯料金値下げの動きにブレーキを掛けるためだったと思われます。

桜井氏が電通グループ副社長に就任したことに依って、総務省の通信・放送担当官僚の出世コースは、総務省事務次官から電通副社長に天下ることになったと思われます。そのために在職中はひたすら通信・放送業界の利益ために働くことになります。監督先への天下りを認めればこう言うことになるのは必然であり、これは刑法の事後収賄そのものです。ただしこの関係では具体的贈収賄の立証が難しく、起訴は難しくなります。そのためこれは本来法律で禁止すべきなのですが、自民党議員も通信・放送界から利益を受けており(放送局に自民党議員の子供が多いのは有名な話)、立法化しないのです。この事態を終わらせるためには次の総選挙で自民党候補には投票せず、自民党を廃止に追い込むことが必要です。