ネット解約を認めないauには解約で抗議しよう

私は約2年前、2年の縛り期間が切れるドコモのガラケーを解約し他社のスマホに乗り換えようとして、ネット解約ができないことを知りました。加入は電話番号の交付や契約内容の確認、本人確認などで対面なのは仕方ありませんが、解約はそういった手続きは必要なく、ネットでできるだろうと思っていました。ショップは遠いし、通りがかりに見るといつも混んでいます。ああ、面倒だと思っている間に無料解約期間が過ぎ、今に至っています。解約がショップのみとなっていることが解約防止策になっていることは間違いありません。そしてそれが携帯3社で営業利益約3兆円、営業利益率約20%という公益事業にあるまじき家計搾取の原因の1つなっています。

携帯3社がこれ程の家計搾取を続けられた原因は4つあります。

1つは、携帯3社が揃って利益を上げるために契約条件を揃えたことです。これにより料金が高止まりし、ユーザーは他社に移る意味が無くなりました。

2つ目は、3社が揃って2年縛り契約を導入し、9,500円という高額な解約金を設定したことです。9,500円というのは普通の生活者にとっては大変な金額であり、解約はよっぽどのことがないとできません。

3つ目は、これらの一方的な取引条件を監督官庁である総務省が認め支援したことです。国のお墨付きを得た家計搾取ということになります。

4つ目は、こういう不公正な取引方法を摘発し是正させることが使命である公正取引委員会が傍観したことです。監督官庁が総務省であり、総務省に対する遠慮があったものと思われます。

携帯3社による歴史上稀に見る家計収奪は、このように行動主体である携帯3社と監督官庁総務省の作為、独立委員会の使命を忘れた公正取引委員会の不作為が一体となって可能となりました。

これが変わり始めたのは、2018年8月に菅官房長官(当時)が札幌での講演会で「携帯料金は4割下げる余地がある」と発言したことからです。菅官房長官の狙いは、翌年10月から消費税2%(約5兆円)の引き上げが予定されており、これによる5兆円の家計支出増を携帯料金4割の値下げで補うためでした。携帯3社の総収入は約13兆円であり、4割値下げすれば携帯3社の収入は約5兆円減り、その分家計支出が5兆円減ることになります。これにより家計への消費税2%引き上げの影響を相殺しようと考えたのです。妙案であり、安倍政権としては力ずくで実現に動くべきだったのですが、安倍首相にはそんな意欲も実力もなく、それを見透かした総務官僚がサボタージュを決め込みました。その結果ここまで携帯3社の収益は増加し続けています。

2020年10月、菅首相となりいよいよ公約である4割値下げが実現するかと期待されましたが、パフォーマンスだけの武田総務大臣では総務官僚と携帯3社連合軍の悪知恵に丸め込まれるのが落ちでした。携帯3社は、夫々オンライン専用で20Gまで2480円または2700円の新プランを発表し、4割値下げを実施したように装いました。しかしこのデータ使用量のユーザーは全体10%もおらず、90%以上のユーザーには値下げの効果がありません。またオンライン手続きができるユーザーの割合も10%未満の状況でした。更にドコモとauは、新プランをダシにしてユーザーをショップに誘引し、もっと高額なプランへ移行させようとしました。社内資料でフック(引っ掛け)という言葉が使われていたということですから、実態は詐欺行為です。

そんな中でドコモは今年3月24日からオンラインで解約できることとしました。

ドコモがオンライン解約を認めたのは、昨年12月関東弁護士会連合会が総務省にオンライン解約を認めるべきと言う要望書を出し、遅かれ早かれ認められると読んだからのようです。またコロナでショップへの来店を制限している中で解約のみのユーザーの来店を減らしたかったこともあると思います。

これに対して、ソフトバックは同調する方向にあるようですが、auはオンライン解約は認めない方針を堅持するようです。auはその理由として、MNPによる転出で解約となった場合は他社回線で通信サービスを継続できるが、単純解約の場合は解約した時点で通話や通信が利用できなくなってしまうため、ショップで丁寧な説明意思確認が必要と言い、まるでユーザーのためと言わんばかりです。まったく馬鹿げた理由であり、そのような人もいるかもしれませんがその数はわずかであり、大部分はそんなことはありません。auのこの理由は、わずかな事例を根拠に大多数のユーザーの利便性を封じようとするものです。こんな言い分通るはずがありません。この結論はこの夏まで引き延ばされるようので、結局auは来年からオンライン解約を認めることとなり、ここでオンライン解約できない時間を稼ぐことになります。いつもの総務省と通じた小芝居です。

楽天モバイルの参入以降、鉄の協調体制をとってきた携帯3社にも綻びが目立ち始めました。先ずソフトバンクの資金を必要としなくなったソフトバンクグループの孫社長が3社の協調から離脱したように見えます。次は打倒楽天グループを目指し、携帯事業でも楽天モバイルと正面から競争してくると思われます。それにドコモも旧国営企業の伝統を引く会社として公益企業の本旨に基づいたビジネスに回帰すると思われます。そんな中auだけはこれまでの家計搾取の妙味が忘れられず、旧来のやり方を続けると思われます。その結果auの余りの強欲さに愛想をつかしたユーザーの離反を招くことになります。3社の通信品質はそんなに変わらないとすれば、後は善良な会社か、悪質な会社かが携帯契約の決め手になります。この観点からするとauは3社の中で最も悪質な会社であり、将来的には嫌われ者として業界4位に転落すると思われます。