前回優勝者渋野選手の欠場はスポンサー離れを招く
5月6日から開催された国内メジャー『ワールドレディスサロンパス杯』を欠場する渋野選手に対し、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は、出場義務違反として100万円の罰金を課すと発表しましたが、これに対してある雑誌は「批判が起こっている」「相次ぐ疑問の声」と批判しています。たぶんこの雑誌の記者は渋野選手のファンで、ネットの一部の批判コメントを我田引水しているものと思われます。
JLPGAのトーナメント規定では、渋野選手は前回王者(2019年)として同大会への出場義務が定められています。そしてやむを得ない理由がない限り欠場すれば罰金となります。渋野選手はアメリカツアー参加のため欠場するということですから、やむを得ない理由に該当せず当然この規定が適用となります。この規定は、前回優勝選手がこの大会を回避して他の大会に出ること、または休養に充てることを防ぐために設けられています。大会スポンサーに対する協会として当然の姿勢と言えます。これに対してとある雑誌では無断欠場ではなく米国ツアーに出場するためだから、この規定はおかしいという書き方です。まったく子供じみた意見です。JLPJAに所属する女子プロゴルファーが競技を続けられるのは、大会スポンサーがいるからです。だから大会スポンサーには最大限の感謝を示す必要があります。「海外の大会に出るから欠場します」などという理由を許してはいけません。罰金100万円も大甘です(韓国は前回優勝賞金の全額返還)。個人スポンサー収入が潤沢な渋野選手にとっては痛くも痒くもないでしょう。しかし、これはJLPGAにとっては大きなダメージを及ぼします。
JLPGAの小林浩美会長は、「みんな楽しみにしていましたけど、本人が米国で頑張りたいということ。あっちで頑張ってくれているので、今は仕方ない」と発言し、理解する姿勢を示したということですが、とんでもないと思います。これでは日本のツアーは米国ツアーの下部ツアーと認めているようなものです。ここはJLPGA所属である限り、国内の出場義務のある大会の欠場は許されないと渋野選手を厳しく指弾すべきでした。この大会は国内メジャー大会です。普通の大会とは違います。JLPGAの会長がこの態度では、4日間大会を増やし賞金も増額して国内選手のレベルアップに協力しているスポンサーは救われません。私は今後女子プロゴルフ大会を後援するスポンサーの撤退が相次いでもおかしくないと思います。ここ数年女子プロゴルフは大会数が増え活況のようですが、ゴルフ人口は減り続けており、これが長く続かないことは明らかです。スポンサー企業のお偉方にまだゴルフがステータスだった時代の老人が多く、道楽で後援しているのでしょうが、経営者の若返りが進んでいます。若手経営者はゴルフよりサッカーやバスケットボールの方が顧客への訴求力があると考える人が多くなっており、ゴルフ大会の後援から撤収するのは当然の流れです。事実男子ゴルフ大会からは撤収が相次いでいます。
私は全英オープン優勝以来渋野選手のファンになりましたが、今回の大会欠場により渋野選手のファンを止めようと思います。渋野選手の魅力はあのひまわりのようスマイルですが、その源泉は渋野選手がソフトボールというチームスポーツ出身であり、チームの仲間や監督、コーチ、一緒に競技する相手選手、応援団などへの純粋な感謝の気持ちです。それがないとあれだけ無邪気なスマイルは出てきません。全英終了後国内大会に復帰してから期待に押しつぶされて渋野スマイルが影を帯びてきていましたが、尚周囲に対する感謝の念は消えていなかったと思います。しかし昨年あたりからこれが消えて行ったように感じます。昨年はレベルアップを目指し、肉体改造とフォーム改造に取り組んだ年でした。その結果が全く実を結ばず、却って悪くなったように思われました。一方では全米女子プロなどのメジャータイトル獲得を公言し、自分のイメージを膨らませて行きました。その結果自分が作り上げた自分のイメージと現実の自分のギャップが大きくなり、海外大会に逃避行したものと思われます。国内で勝てない女子プロが海外で勝てるわけがありません。
最近の渋野選手の発言を報道で見ると、唯我独尊に陥ってると感じられます。男子の石川選手のようなスイングの改造に取り組んでいることに疑問を呈した報道に接し、「私には関係ないから」と発言するなど、周囲を敵に回してきていました。これが今回の前回優勝者として出場義務のある国内メジャー大会の欠場という非常識な態度に繋がったと考えられます。
これで渋野選手は終わったし、スポンサー離れにより女子プロゴルフも衰退に向かうと思われます。渋野選手の今回の欠場は、こんな大きなターニングポイントとなったと思われます。