東京オリンピックは不参加表明続出で中止となる
東京オリンピック開催の是非を巡って攻防が激しくなってきました。政府は開催の方針を変えていないようですが、国内的にも国際的にも中止すべきとの声が高まっているように思われます。その最大の原因は日本におけるコロナウイルスの蔓延です。政府は5月14日、緊急事態宣言の対象を従来の東京都、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、福岡県に、北海道、岡山県、広島県を加え、9都道府県としました。これに10県が蔓延防止等重点措置の対象になっていますので、合わせると19都道府県が危険な状態ということになります。こんな中でオリンピック開催などとんでもないという声が高まるのは当然のことです。
IOCのバッハ会長も5月中旬の来日を中止していますから、IOCも今の日本の状態は安全に来日できる状態ではないと判断していることになります。
国内ではネットでオリンピック開催中止の署名が集められており、5月14日で35万筆を突破したと報じられていますし、新聞の調査による59%が開催に反対している結果なっています。国内の大企業の経営者は、多くがオリンピックに関係していることから、反対の声を挙げられないようですが、関係が薄いソフトバンクGの孫社長は「日本だけでなく、多くの国々がオリンピックを開催することを非常に恐れている」と述べていますし、楽天の三木谷社長は「正直言って自殺行為のようだ」と述べています。更に東京オリンピックの重要なパートナー企業であるトヨタの役員も「参加をいただく全てのアスリートの方、応援される国民のみなさまが、安全で安心した環境でいることが、私どもとしてはオリンピックの精神の大前提。現在、医療の不安から国民の一部の方の不満がアスリートのみなさんに向けられている状況についてスポンサーとして本当に心を痛めており、どうすればいいのか日々思い悩んでいる」とコメントしています。
こうした国内以上に海外は東京オリンピック中止の声を強めているように見えます。
ニューヨーク・タイムスは4月12日「完全に中止にする決断を下すときが来たのかもしれない」と報じ、英紙タイムズも「中止する時が来た」と題するコラム(3月3日付)を掲載しまし、5月13日にはフランス紙リベラシオンが1面トップに「東京五輪はKO(ノックアウト)か」との見出しの記事を掲載しています。ほぼ東京オリンピック中止の論調です。
これらは各国の政府や選手を派遣する各スポーツ団体の参加不参加の態度決定に大きな影響を与えると思われます。既に個々の選手の間では東京オリンピックには参加しないという表明する選手も出て来ていますが、米国陸上競技代表団が千葉県での事前キャンプの中止を決定したことが今後各国スポーツ団体の態度決定に大きな影響を与えると思われます。事前キャンプを実施しないということは、ベストの状態で競技できないということであり、それでは記録や最高の勝負は期待できないし、オリンピックに参加する意味がありません。今後米国選手団は安全が確保できないとして不参加を決定すると思われますし、各国選手団も続々と不参加を表明することになります。これにより東京オリンピックは中止に追い込まれます。日本政府としては米国選手団の不参加決定により、IOCと協議し共同で東京オリンピック中止を表明することになると思われます。時期は5月末がタイムリミットではないでしょうか。