携帯料金4割値下げが1%値下げにすり替わった!
携帯大手3社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)が2021年3月期の決算を発表しました。
ドコモが売上高4兆7,252億円、営業利益9,132億円、KDDIが売上高5兆円3,126億円、営業利益1兆374億円、ソフトバンクが売上高5兆円2,055億円、営業利益9,707億円となっています。この内ソフトバンクの通信事業は売上高2兆7,703億円、営業利益6,582億円ではないかと思われますが、ここでは上記数字をそのまま使います(通信事業収益がY!モバイルやLINEモバイルなどに分散計上されており、実体が分かりずらい)。
この結果、3社の合計売上高は15兆2,433億円、営業利益は2兆9,213億円、営業利益率は19.1%となっています。2018年8月に当時の菅官房長官が「携帯料金は4割値下げする余地がある」と発言してから3回目の決算となりましたが、それ以降も売上高および営業利益を増やし続けています。退官後天下を確約された総務官僚と携帯3社の結束の強さを物語っています。
この結束の要にはドコモの親会社NTTがいるようです。NTTの澤田社長は、高市総務大臣(当時)、谷脇審議官、山田審議官(当時)が会食していたことが明らかになりましたので、総務省の携帯料金政策は澤田社長の了承がないと進められないようになっていたと推測されます。その証拠にNTTがドコモを完全子会社化することが決まると、インターネット手続き限定ながら4割近い値下げプラン(ahamo)がドコモから発表されました。ドコモの完全子会社化が値下げプランの条件となっており、国民不在の料金政策になっています。
ドコモのahamo発表後いつもの通りKDDIとソフトバンクがほぼ横並びのプランを発表しました。povoとlinemoです。プラン名も横並びに近くなっていますから、3社は今後も協調する意思を示したと言えます。
これらの料金は3社が国民のために下げたのではなく、楽天が容量無制限2,980円という料金を出していたために、対抗上已むを得ず出したものです。この姿勢には通信は公益事業と言う観念はありません。
こんな中での昨年の決算であり、3社の好決算は予想通りです。問題は今期の3社の減収額、国民の側からすれば通信料金の支出減少額でした。これについて、ドコモは450億円、KDDIとソフトバンクは700億円程度減収になると予想しています。3社合計で1,850億円であり、これは15兆円の収入に対して1.2%の減収率です。即ち、菅首相の4割値下げの号令は、1.2%の値下げにしか繋がっていないということです。
これが今の官僚のやることであり、菅首相の言葉の重みです。要するに官僚は職務を自身の天下りの手段としか考えておらず、菅首相も自身の言葉の重みが分かっていません。
私は昨年9月菅首相に決まったとき、菅首相の「携帯料金4割値下げ」とNHK改革の姿勢に期待しましたが、いずれも期待外れのようです。菅首相は会見すれば人気が落ちるようにボキャブラリーが少なく、頭が良いとは言えませんが、やると言ったことはやる人だと信じていました。やはり首相にはある程度の学力が必要だと痛感しています。