日本の企業はアマゾンの品質管理手法を真似るべき

日立が英国で納入した列車に亀裂が見つかり、運休に追い込まれたという報道がありうました。2018年に台湾で脱線事故を起こした車両も日本製で、製造したメーカーは設計ミスを認めています。今年4月台湾で脱線事故を起こした車両も日立製ですが、こちらは製造ミスなどは指摘されていませんが、英国で列車に亀裂が見つかったことから疑われるかも知れません。

このように最近日本の企業が製造した製品に欠陥が見つかる事例が増えているように思います。今でも車は故障しないことで世界的評価を受けているようですが、世界各国の品質管理の手法が向上し、日本を上回ってきているように感じられます。台湾の鴻海はアップルのiphoneの受託生産で有名ですが、中国などで生産しているにもかかわらず製品に欠陥があったという話は聞こえてきません。アディダスのシューズも東南アジアで作られているものが多いですが、品質には全く問題ありません。ということは、誰が作っても問題がでないような品質管理をしているということです。日本の場合、品質管理といえば一部の熟練工の経験や勘を重視してきましたが、生産現場の人員縮小により熟練工が減少し、技術の伝承がうまく行っていないものと思われます。熟練工に頼らない品質管理システムが必要となることは早くから分かっていました。欧米の企業はもちろんのこと韓国、台湾などの欧米を手本とする企業も欧米流の品質管理を確立しており、それが受託製造事業の成功に繋がっていると思われます。台湾の鴻海やTSMC、韓国のサムスン電子の成功は欧米流の品質管理手法なしには考えられません。そして日本の製造業が衰退した最大の原因は、欧米流の品質管理手法、即ち品質管理のシステム化に失敗したことだと思われます。ようするに人依存的な品質管理から脱却できなかったのです。

日本の企業は、品質管理手法をアマゾンに学ぶべきだと思います。私はアマゾンを良く利用しますが、受注から発送、配送、フィードバックが見事に繋がっており、問題があれば速やかにシステムを見直すようになっています。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスの根本思想が「善意に頼るな。仕組みを作れ」 であり、これが実践されていることが分かります。世界中のありとあらゆる人が働くための、人間の“意志”に頼らない「仕組み(システム)」づくりは、アマゾンの行動原則の中核を占めていると言われています。これだと問題が起きてもシステムが悪いということになり、担当者を責めるということにはなりません。日本の場合、このシステム作りをないがしろにして、人に責任を負わせるから、うまく行かないと担当者を責めたてることになります。その結果陰湿ないじめやパワハラが横行します。

アマゾンは物流企業ですから、その仕組みは簡単であり、多くの業種の企業で取り入れられます。日本の企業は先ずアマゾンのシステム思考の品質管理手法を真似るべきだと思います。