銀行スマホ送金料値下げの本丸はキャッシュレス決済

大手銀行が割安な手数料で送金できるスマートフォン向けサービスを始めるとの報道です。

これにより割高と批判されてきた銀行の送金手数料がスマホを使えば下がることになりそうです。今は同じスマホ決済事業者を使う利用者同士なら送金が無料ですが、これが始まれば銀行間送金が安くなりますので、利益を受ける人が格段に多くなります。先ず三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、埼玉りそな銀行の5行で始め、その後地方銀行やスマホ決済事業者にも参加を呼び掛けるようです。地方銀行は間違いなく参加すると思われ、スマホ送金のインフラとなりそうです。

これはスマホ決済事業者やその利用者が増加し、これまで銀行が独占してきた決済機能がスマホ事業者などに侵食されてきたことが原因だと思われます。そして最大の原因は、paypayなどのキャッシュレス決済の伸長です。キャッシュレス決済はこれまでキャンペーン期間として多くの事業者が無料としてきましたが、今後手数料を徴収してきます。その場合の手数料は3~5%になると言われており、これによりキャッシュレス決済を導入する事業者は頭打ちとなると予想されていました。しかし大型店舗を中心に一旦キャッシュレス決済を導入すると止められなくなり、キャッシュレス決済が今後も増えて行く流れとなっています。そうなるとスマホ送金以上に銀行に深刻な影響を与えることになります。先ず事業者の日々の現金取り扱い量が減少し、その結果事業者と銀行の係わりが小さくなります。その分銀行としては収益機会を失うことになります。だから銀行としては、現金決済機能は絶対に失ってはいけないと考えていると思われます。

だとすれば、スマホによる送金手数料の低廉化の次に来るのは、このインフラを使ったキャッシュレス決済です。これまで銀行はキャシュレス決済の導入にあまり積極的でなく、現在キャッシュレス決済の取扱いでは微々たる存在となっています。それはキャッシュレス決済の普及に時間が掛かると言う読みと、いざキャッシュレス決済が主流となれば、いつでも銀行が主役になれると読んでいたからです。殆どの銀行がデビットカードを発行しており、デビットカードを使い全国の銀行の口座から即時に代金を引き落とし、速やかに相手(売主など)の口座に入金できるようにすれば、キャッシュレス決済事業者を通す必要はありません。だから時期がくればこのシステムを導入することは明らかでした。これがスマホ送金を手始めとして実施されることになります。手数料を1%以下に抑えれば、日本全国の事業者が参加するほぼ独占的なシステムになるはずです。