日本郵政の「特別あて所配達郵便」は個人情報保護法違反!

日本郵便が宛名が無くても郵便物を配達する「特別あて所配達郵便」という制度を始めると言う報道です。これは武田総務大臣がNHK受信料(以下受信料)徴収について日本郵政を活用したらどうかと言い出したことから、考え出されたようです。NHKについてはネット調査で8割の人がスクランブル化すべきと回答しており、その有り方が問題になっています。当たり前で受信料制度を定めた放送法は1950年に制定されており、当時はテレビ放送はNHKのみであり、受信料にも合理性がありました。しかしその後民放が誕生し、アナログ放送からデジタル放送に移行したことから多数の放送が誕生しました。またインターネットの発達により多くの有料ネット放送も出来ています。従って放送の選択肢が増えたため、NHKは見ない人が増えています。また月2,170円という受信料も携帯電話料金などの支出増加の影響により、家計の重い負担となっています。

そのような状況で2019年7月の参議院議員選挙では、「NHKから国民を守る党」(N国党)が全国区で約150万票を獲得し、1名の当選者を出しました。N国党がそのまま活動していたら今年の総選挙では10名くらいの当選者を出してもおかしくなったのですが、変な方向に進み、受信料問題を解決する党とは言えなくなってしまいました。そのためNHKやNHKを守る自民党が勢いを盛り返し、やりたい放題になっています。今回のコロナ禍においてもNHKは受信料を下げなかったし、徴収停止もしませんでした。内部に現金・有価証券5000億円近くを保有しているのに、です。給付金から受信料を支払った国民も多いと思われます。

こんな中でNHKの前田会長が受信料を下げるためにはその原資が必要であり、受信料徴収に700億円掛かっているのが問題だと述べたことから、武田総務大臣がならば受信料の回収に日本郵政を活用したらどうか、となった訳です。そんなことできるはずがありません。受信料を払うのはおかしいと考える人が多数おり、受信料不払者は確信犯です。その人の所に日本郵政職員が受信料徴収に行ったら喧嘩になります。そしてその影響は郵便窓口や郵貯、簡保にも及びます。従って、日本郵政としては受け入れられません。そこで受信契約や受信料督促の郵便物を宛名が無くても配達する制度を考え出し、武田総務大臣の要望に応えたという体裁を整えたようです。

しかしこの制度は大いに問題があります。先ず宛名が分からないということは、契約関係がないということであり、また良好な関係にないということです。これが分かっているから宛名が不明の郵便物について日本郵政はこれまで配達せず返送していました。これがあるから日本郵政は信用され、配達員がドアの中にも入れて貰えるのです。現在大部分の連絡は、スマホやPCのメール、LINEなどで行っており、手紙やハガキは殆どありません。宛名なしの郵便物が届けられるとなると、郵政職員を出入り禁止、郵便物配達拒否にする人が出てきます。その結果公文書も届かなくなりますが、困るのは役所も同じです。

そもそも宛名が分からないのに配達するということは、インターネットのプロバイダーが加入者のアドレスを把握していることを利用して、あるいは携帯通信社が電話番号データがあることを利用して、メールやSMSで他社の請求書や広告を送り付けると同じです。これをすればプロバイダーや携帯通信社は、個人情報保護法違反となるはずです。同じようなことを日本郵政がやろうとしていることになります。これでは日本郵政は反社団体と同じです。もしこれが行われた場合、NHKのスクランブル化を求める人たちは一斉に郵貯や簡保解約、郵便受閉鎖などで抗議しましょう。