楽天モバイルのMVNO1号は郵政モバイル
楽天モバイルは携帯大手3社が協調して高料金を課してきた携帯電話業界に値下げ競争の機運をもたらしましたが、まだ本格的な値下げ競争には至ってないようです。大手3社は昨年20Gまで2,480~2,700円の値下げプランを発表しましたが、インターネット専用であり、加入や変更手続き、携帯操作をショップに依存してきたユーザーには敷居が高いものとなっています。また大手3社は、解約手続きをショップに限ったり、解約やSIMロック解除手続きのウェブページを閲覧できないようにするなど、移行を妨げる方策を駆使しています。その結果、今年大手3社がこの値下げで被る減収は約1,800億円(約2%)と予想されています。菅首相が目標とした4割の値下げとは程遠いことが分かります。
大手3社の値下げプランは当時の楽天モバイルの料金水準に合わせたものであり、楽天潰しの意図がありました。これに対し楽天モバイルは20G超2,980円、20Gまで1,980円、3Gまで980円、1Gまで0円という衝撃的な料金を出してきました。これにより楽天モバイルの加入者が増加したようですが、5月の発表では約410万人となっており、思った程伸びてないように思われます。やはり自社電波カバー率が80%程度で繋がらないエリアが多いことが影響していると思われます。夏場には96%のカバー率になると発表していますので、本格的に加入者が増加するのは夏場以降になると予想されます。
楽天モバイルの加入者の伸びが鈍いのには、電波カバー率の他にショップが少ないことも原因になっていると考えられます。やはりネットに不慣れ人はまだ多く、ショップが無いから楽天モバイルに加入できない人も多いと予想されます。これは今後とも楽天モバイルの弱点になる可能性があります。
そこで考えられるのが大口出資者でありビジネスパートナーである日本郵政にMVNO郵政モバイルを設立してもらい、郵便局に郵政モバイルのショップを併設することです。現在は郵便局の窓口で楽天モバイルの加入受付を取り次ぐことが検討されているようですが、郵便局の顧客にとっては楽天モバイルよりも郵便モバイルの方が加入しやすいと思われます。また日本郵政としても日本郵政のサービス(郵便、郵貯、簡保、物品販売)にアクセスできるアプリをプレインストールするなどメリットがあります。楽天は日本最大のネットモールを運営しており、楽天モバイルのユーザーについてもMVNOを通して増やすことが考えられます。MVNOの加入者にも楽天ポイントが使えるようにすれば楽天カードなどの拡販に繋がります。現在多くのMVNOは、大手3社が回線使用料を下げないことから経営が苦しくなっていると言われています。以前楽天モバイルがMVNOだったとき楽天の三木谷社長が「まるで奴隷」と言った状況です。楽天モバイルはコスト的には大手3社より安いと言われており、自社のコストとほぼ同じ卸料金でMVNOが使えるようにすれば、乗り換えるMVNOが出て来ると考えられます。乗り換えなくても楽天モバイル回線プランを追加してくるMVNOが現れます。
楽天モバイルは料金の優位性を保つために、電波のカバー率は今年の夏頃達すると言われている96%に留め、山間部など残り4%は追及しないこととします。そうすれば、通信コストは大手3社より大幅に安くなるはずです。100%繋がることを望む人は大手3社と契約することになりますし、そうでなく4%繋がらなくても料金が安ければよいと考える人は楽天モバイルと契約することになります。楽天モバイルの料金が大手の半額なら、これで20%以上のシェアが取れます。将来モバイルはネット会員サービスの1メニューになりますから、楽天は将来とも日本最大のネット会員組織であり続けます。