NHKスクランブル化は民主主義のリトマス紙

自民党政治を見ていると民意が無視されていると実感します。最近最高裁で夫婦同姓とする民法などの規定を合憲とする判決がでましたが、この判決文で最高裁判事の多くは、この問題は裁判所が決めることでなく国会が決めることだと言う主張を強く打ち出していました。その通りで、歴史上は夫婦同姓でずっと来てても国民の多数がそれ以外を望んだら、国会で法律を改正して対応するのが正当なやり方です。その前に裁判所が違憲だから新しい法律を制定しなさいと指示するのは、三権分立の立場からも望ましくありません。

私はこの問題には興味なかったのですが、その後地方紙(熊本日日新聞)のこの問題に関するアンケート結果を見て考えさせられました。熊本は保守的な地方ですがその結果は、夫婦別姓に賛成48%、どちらかと言えば賛成28%、反対14%、どちらかと言えば反対10%と圧倒的に賛成が多くなっています。逆に反対は24%しかありません。この民意を考えると民主主義国家なら法律が速やかに改正されるのが普通です。これが改正されないということは、国会議員は反対である24%を代表していることになります。特に政権与党で276議席を持っている自民党はこの24%の代表と言うことになります。ここから現在の日本は民主主義国家ではないと感じるようになりました。

私にとっては夫婦別姓問題よりもNHK受信料問題でこれを強く感じています。テレビ受信設備があればNHKと受信契約を結ばなければならいと定める放送法は、テレビと言えばNHKしかない1950年に定められており、民放が多数登場し、衛星放送チャネルもたくさん出来た現在とは立法環境が激変しています。またインターネットの発達によりテレビを見ない人が増えており、テレビは必需品でもなくなってきています。このような中でNHKの存在意義は低下し、公共放送としてのNHKは不要と言う人が多数派となっています。そもそもNHKの放送の内公共放送と言える内容はニュース、天気予報、選挙時の政見放送、国会中継、自然災害時の緊急放送など数えるくらいしかありません。NHK放送の大部分は民放と変わらない内容であり、NHKはわずかしない公共放送部分をもって公共放送と称して7,000億円以上の受信料を国民から徴収しているのです。そして受信料は受信契約の対価だとして所得に関係なく一律であるため、低所得者ほど重い負担となっています。

法律的にも受信契約の締結を望まない人にその意思に反して契約締結義務を課しており、個人の意思の尊厳を重視する憲法に違反するのは明確です。最近の夫婦同姓違憲訴訟の最高裁判決においても数名の裁判官は同姓を強いることは個人の尊厳の観点から許されないと述べていますから、受信契約の強制についてはもっと違憲性が強い(100%違憲)ことになります。しかし放送法違憲訴訟の最高裁判決では、放送法を違憲とする裁判官は誰もいませんでした。この裁判においては最高裁に法務大臣が放送法を合憲とする意見書を提出しており、法務省が考えても違憲判決が出る可能性が高かったと思われます。それが全員一致で合憲との判決になったのは、法務大臣の圧力の他もし違憲判決を出せば受信料を払う人がいなくなり、また過去に支払った受信料の返還を求められ、NHKが放送停止に追い込まれる事態を招くことを裁判官が恐れたためと思われます。このように立法ばかりでなく司法でも民主主義は機能していないことが分かります。

それでもNHKを必要とする国民は少数派であり、低所得者にとっては2,000円を超える受信料は大変な負担となって来ていることから、NHKと国民双方が納得できる解決方法はスクランブル化しかありません。そもそもNHKBS放送は公共放送とは言えず、受信料の対象ではないという議論は2007年からあり、以来NHKは社内で検討を続けていることになっています。まったく馬鹿げた政治というしかありません。

NHKスクランブル化について国民にアンケートをとれば、確実に8割の人が賛成します。と言うことは、民主主義国家なら放送法を改正してNHKスクランブル化が実現するのが当然です。これがそうならないことは、日本は民主主義国家ではないということであり、その最大の原因は政権与党である自民党にあることは間違いありません。次の総選挙で自民党を廃止して民主主義を実現する必要があります。NHKスクランブル化は民主主義のリトマス紙となっています