日本の有権者は民主主義を放棄している
日本の政治を見ていると国民の多数意思などどこ吹く風で政策が決まっています。例えばNHKスクランブル化はアンケートをとれば国民の8割が賛成と答えます。しかしこれが実現する様子は皆無です。また夫婦選択的別姓についてもある新聞の調査によると7割以上は賛成(どちらかと言うと賛成も含む)と答えています。反対は3割ありません。選択的ですから同姓が良い人は同姓にするし、別姓が良い人は別姓にするわけですから、どちらの要望も満たします。両方円満な制度です。しかし国会では反対が多数派のようで実現に至りません。その結果違憲訴訟が提起され、最高裁が困っています。これは政党が当選回数の多い長老議員に支配されており、多数決で決める民主的体制になっていないためだと思われます。だから議員の数で言えば選択的別姓への賛成者が多いけれど、当選回数が多い議員が反対のため党としては反対ということになっているようです。
これでは民主主義とは言えません。民主主義は国民多数の声が国政に反映される制度です。国民多数の声は間違うこともありますが、それはその後修正されるところが民主主義の良い点です。
この民主主義が機能していないのが日本の政治の最大の欠点です。だから社会が一向に変わりません。NHK受信料を定める放送法は戦後間もない1950年に制定された法律です。その当時テレビはNHKだけでした。その後民放ができ、衛星放送が始まり、インターネット放送もできるなどの変化があり、公共放送の意義と役割が大きく変化したにも関わらず放送法は憲法と同じく不磨の大典となっています。これは放送法から利益を得ているNHKなどの放送業界と電波を管理する総務省および放送法の改正権を持つ国会議員が結び付き、放送利権同盟を結成しているからです。ここでは国会議員はNHKや放送業界の利益を守るために働き、有権者の意思は無視しています。
問題はこんな国会議員が当選を重ねていることです。NHKスクランブル化について言えば、有権者の8割は賛成であり、これは政権政党である自民党支持者の間でも変わらないと思われます。有権者は、これを無視する議員には投票してはいけないのに、投票を繰り返していることになります。だから議員が態度を改めるはずがありません。
ネットを見ていると世の中が変わらないことを政治家のせいにする声が多いですが、一番の問題は有権者の投票行動にあります。今の政治制度は民主主義ではなく、議員主義または自民主義です。議員や自民党が主権者であり、有権者は習慣的に同じ人に投票を繰り返す投票奴隷になっています。この有権者の意識と投票行動を改めない限り、日本の民主主義は実現しません。次の総選挙では、自民党に投票しないこと、現職議員に投票しないことで日本に民主主義を実現しましょう。