公明党は「福祉の党」から「利権の党」へ?

8月4日東京地検特捜部が公明党の2人の衆院議員の議員会館事務所に家宅捜索に入ったという報道です。容疑は両議員の元秘書2人が登録貸金業者となっていないにもかかわらず、政府系金融機関と融資先の仲介業務に関与し報酬を得た貸金業法違反ということです。元秘書は今年1月緊急事態宣言下銀座で外食していたとして議員辞職した同党の遠山清彦元衆議院議員の元秘書で、遠山議員の議員辞職後2名の議員秘書になっており、公庫への仲介を依頼した会社の代表が遠山議員と親しかったことから、捜査の本当のターゲットは遠山元議員という報道もあります。

この報道を見て自民党議員の間違いではないかかと思いました。自民党議員についてならよくあることであり別に驚くことではありません。これが公明党議員だと分かって、最近の公明党の実態が見えてきました。公明党は利権(利益誘導)政党化しています。

こう思い始めたのは昨年4月、当初所得が半分程度に減少した人に限定して給付することで閣議決定まで済んでいたコロナ給付金が、公明党の山口代表の横やりで国民一律10万円給付に変更になってからです。変更は4月16日に決まっていますが、これは公明党が国民一律10万給付に変更しなければ、4月14日に公示され4月26日投票の衆議院静岡4区補欠選挙で自民党候補者に投票しないと迫ったためと思われます。コロナ対策で支持率が急落し、自民党内からも不満が噴出していた安倍首相にとって、静岡補選の負けは安倍降ろしの開始を意味しますから、飲まざるを得ませんでした。公明党がこれを迫ったのは、支持母体である創価学会(以下学会)の財務支援(寄付)に報いるためだったと思われます。

これで味を占めた公明党は安倍首相が思い付きで行ったアベノマスクの配布でも支援者への利益誘導を図ります。配布されたマスクにシミや汚れが目立ったことから製造業者に関心が向かいましたが、当初受託した4社のうち1社の社名を厚生労働省が明らかにしませんでした。これは直ぐに判明したのですが、その会社の代表は学会関係者だったのです。これも公明党の斡旋による支援者への利益誘導のように思えました。

更に昨年10月3日には、福島県郡山市であった同党県本部大会で山口代表は「デジタル庁を福島県につくったらいかがでしょうか、と総理に申し上げた」と発言します。9月に誕生した菅政権の目玉政策であるデジタル庁を公明党の力で福島に持ってくると宣言したのです。これなど公明党が利益誘導政党化した象徴と言えます。それもデジタル人材は引っ張りだこであり、東京でさえ優秀な人材を確保するのは難しい状況ですから、この考えが如何に荒唐無稽であるか分かります。公明党はこんなことも分からずにひたすら支持者に甘い話を投げ始めました。

これは選挙で公明党の得票数が減少している危機感が背景にあるようです。公明党の得票数は、2007年の806万票(衆議院比例区)から昨年の参議院比例区では653万票と約150万票減少しています。公明党はこれを挽回するため、支持者への利益誘導を強化していると思われます。そんな党内の空気が今回の議員秘書貸金業法違反容疑に繋がっているように思われます。

これらの疑惑を考えると公明党が9年に渡り大臣を出している国土交通省関係の業務が気になるところです。国土交通省は年間6兆円を超える予算を扱っており、多くの土木建設事業を発注しています。古くはこの予算(公共事業費)を目当てに自民党の派閥が大臣の争奪戦を繰り広げました。公明党は「福祉の党」を標榜するだけに自民党と連立を組んで暫くは厚生労働大臣を出していましたが、その後約9年に渡り国土交通大臣を独占しています。公明党の最近の利権誘導姿勢を見ると国土交通省の業務で公明党支持者への利権誘導が成されているのではないかという疑いが擡げてきます。公明党は「福祉の党」から「利権の党」に代わった印象を受けます。そしてこれが公明党の得票数が減少している理由と考えられますが、公明党はまだ気付いていないようです。