PC・スマホからもNHK受信料を取る悪巧みが動き出した
朝日新聞による8月27日武田良太総務相はNHKの前田晃伸会長に対し、テレビを持っていない人を対象にインターネットの配信を試験的に行う「社会実証」を検討するよう文書で要請したと言う報道です。
これについて武田総務相は同日の閣議後会見で「公共放送におけるインターネット配信の意義やニーズを検証し、果たすべき役割や使命について議論をしていきたい」とし、具体的な内容や時期などは「NHKにおいて検討されるものと考えている」と述べたということです。
総務省の担当者は、ユーチューブなどの動画配信サービスが人気を集め、若者のテレビ離れが指摘される中、国会でもNHKに工夫を求める声があがったことなどを踏まえたものと述べています。NHKは昨年春から番組を放送と同時にネットに流す同時配信や1週間見られる見逃し配信の「NHKプラス」を始めていますが、今回は放送した番組と同じものを流すだけではなく、ネット利用者向けの工夫を施したコンテンツの配信が考えられているとのことです。
これはNHKスクランブル化を望む人ならすぐ分かりますが、インターネット配信量を増やし、テレビ受像機からばかりでなく、インターネットを利用できるPCやスマホからもNHK受信料を徴収することを狙ったものです。NHK受信料は放送を見る見ないに関係なく、受信設備があれば払わなければならない(受信契約を締結しなければならない)とされているため、インターネットで流すNHKの番組が多くなれば、同じ理屈でPCやスマホからも受信料をとろうということになります。現在テレビを持たない人が増えており、このままでは将来NHK受信料収入が減ることになります。一方ではPCやスマホでインターネットを利用する人は増加しており、ここから受信料を徴収すれば受信料収入は増加します。ここが今回の「社会実証」の狙いです。
NHKの2020年度決算を見ると、事業収入7,121億円、事業支出6,870億円で事業収支差金(営業利益)は251億円の黒字となっています。昨年と比べると事業収入が82億円減少していますが、この内受信料が78億円です。あれだけコロナで苦しみながらみんな受信料を払っていたことが分かります。事業支出は484億円の減少となっています。これはコロナによって番組の制作が中止になったり、中継が無くなったりしたために生じた費用の減少とのことです。
この結果NHKの総資産は1兆2,681億円となり2019年度より512億円巨大化しています。内訳を見ると、流動資産の現金預金・有価証券が775億円増加しています。現金の総額は520億円、有価証券の総額は4,165億円となっています。それに長期保有の有価証券が910億円ありますので、合計5,595億円の現金・有価証券があることになります。これがNHKの余裕資金であり、1年間無収入でもやっていける金額です。これだけの余裕資金がありながらNHKは、コロナで苦しむ受信料支払者に対して徴収停止や値下げなどの措置を取らなかったのです。許せないですね。
キャッシュフローを見てみると、事業活動によるキャッシュフローは1,429億円のプラス、即ちこれだけ現金が増えたということです。これを投資活動で1,501億円支出し、年間では約81億円減少したことになっています。事業活動は現金を増やすことが目的ですから、これがNHKの事業活動の本当の利益ということが出来ます。即ち、NHKの2020年度の本当の利益は1,429億円ということが出来ます。この現金は将来のための設備等に使われ、それが投資活動で表されています。内容を見ると、固定資産の取得として820億円、長期有価証券取得として500億円支出しています。1,429億円余るから使い切るために多額の固定資産を購入し、余りは内部留保に回すと言う贅沢な経営状態です。今のNHKの経営は、約7,000億円を使い切ることです。
このようにNHKが富む中で家計は困窮しています。国会議員は困窮する有権者の代表としてNHK制度改革を行う責務がありますが、逆にNHKを富ませることに一生懸命です。それは国会議員の子息や関係者をNHKやNHKの関連会社に入れ、放送法の改正権を握ることによってNHKを政府自民党の御用放送局化できるからです。自民党の国会議員は有権者よりもNHKを上席に置いています。
朝日新聞の記事ではこの問題を民放の経営に悪い影響を与えるから問題だとして取り上げています。即ちテレビ子会社の利益擁護の主張です。そうではなくこの問題の肝は、またNHKが国民搾取を行おうとしており、それを自民党が支援していることです。総選挙が近づく中で武田総務大臣が有権者よりもNHKを富ませることになるこの提案をNHKにしたということは、有権者も舐められたものです。次の総選挙で自民党に投票しないことで自民党を廃止に追い込み、NHKスクランブル化を実現しましょう。