河野大臣は思い込みの「ミスター頓挫」

9月10日、河野太郎行革担当大臣が自民党総裁選に立候補すると表明しました。所属派閥の麻生会長は立候補に反対してきたと言われており、同じ派閥に属する実力者の甘利明衆議院議員は岸田文雄議員を応援すると表明しています。これにより麻生派としては一致して河野大臣を応援する体制にならないようです。

河野大臣は歯切れのよい発言から若者に人気があるようです。私も最近まで将来首相になって欲しいと思っていました。しかし最近河野大臣には大きな欠陥があることが分かってきました。それは河野大臣が言い出したことの多くが途中で頓挫しているからです。

河野大臣の決断力と行動力が知れ渡ったのは、安倍内閣防衛大臣時代の陸上イージス中止だと思います。この際は河野大臣が中止にすべきと言い出して1カ月程度で正式に中止と決定しました。普通なら安全保障会議が数回開かれ、レーダーを購入ことになっていた米国と交渉して数カ月、合計半年はかかるところです。最大の難関は米国ですが、これは河野大臣が直接米国の責任者と話を付けたものと思われます。これを聞いた際には河野大臣の決断力と行動力に驚いたものでした。しかしその後陸上イージスの代替方法が確定しないと聞いて、代替方法も検討せず思い付きで突っ走ったのではないかと不安になりました。中止の理由は陸上イージスの迎撃用ミサイルの破片が住宅地内に落下する可能性が高いからということでしたが、日本には海岸線近くに無人の土地は多数あり、破片の落下しない土地は容易に確保できます。他の理由だったにしろ代替方法も決まらないまま短期間で中止と決定したことには違和感が拭えませんでした。

その後菅内閣で行政改革担当大臣になった河野大臣は、公務での印鑑廃止を実現しました。これは評価して良いと思います。その後FAX全廃を宣言しました。世界中が電子メールを使っている中で日本の官庁ではFAXが中心となっており、テレワークが進まない原因であるとして、一方的にFAX廃止を宣言したのです。これが最近になってFAXの全面廃止は中止となったと報道されています。どうも医療や警察事務を中心に秘密保持上FAXでないと困るものがあることが分かって来て、中止に追い込まれたようです。これなど少し調査すれば簡単に分かりそうなものですが、それをする前に河野大臣が宣言してしまったようです。

最近では菅首相からコロナワクチン接種担当大臣を任命され、大規模接種会場の設置、自衛隊の動員などの政策を打ちだし、ワクチン接種を大いに促進しました。そして更に加速するために打ち出したのが職域(職場)での接種でした。これは企業の心理をよく考えたもので、企業は社員にワクチンが接種できるとなれば一日も早く済まそうとします。その結果ワクチンの予約が殺到したようです。大手企業は自社で病院を持っていたり、病院と契約していますから保管もできるし、関連会社まで広げれば社員数を上回るワクチンを消化できます。こうやって在庫してあったワクチンが一挙に出て行って、気付いたら自治体分や他の企業分が足りなくなっていたようです。

ワクチン接種の最大の問題はワクチンの確保であり、それは4月に米国を訪問した菅首相の課題の1つがファイザーの社長に面会し、ワクチン供給の約束を取り付けることだったことからも分かります。その際ファイザーの社長は直接の面会には応じず、オンライン会談で供給に努めることを約束しただけでした。従ってワクチン不足は解消されていない中で、企業の希望通りワクチンを供給することは不可能でした。そのため企業の希望数とワクチンの在庫数を常にチェックすることが必要であり、それを元に企業にワクチンを割り当てる必要がありました。どうもこれを怠ったようです。これは官僚の仕事なのですが、官僚と河野大臣のコミュニケーションが悪く、官僚から情報が上がってこなかったようです。子供じみた失敗です。

最近の報道では再生可能エネルギー量の目標に関して資源エネルギーの次長とのやり取りの中で、36~38%「程度」という言葉を譲らない次長に対して、「程度ではなくて以上だろ。日本語の分かる奴を出せよ、じゃ!」と言うなど、パワハラを行ったと報道されています。私はこれがパワハラに当たるとは思いませんが、官僚とのコミュニケーションを悪化させる行為であることは間違いありません。こうして官僚から忌避され情報が上がらなくなり、検討不足のままに自分のやりたいように決定し、突っ走って頓挫するようです。

これは河野大臣の気質に基づくものであり、治らないと思われます。これが首相となると国の運命を左右する大きなテーマで頓挫することになりなります。河野大臣は首相にはふさわしくないと思われます。

追伸;

河野氏は12日夜のフジテレビ番組で、ワクチン接種について「自分で言うのもなんですけど、言っちゃいますけど、やはり河野太郎でなかったらここまで来なかっただろうと正直、思っています」と述べたということですが、数量を確認しないまま職場接種を受け付けた結果、申し込んだ1,000社以上の企業が中止としています。会場や医師・看護師の確保、接種の手配などで大変な時間とコストがかかっており、企業に大変な迷惑を掛けていることに河野氏は気付いていないようです。この人はダメです。