早慶生が東大生を上回るのは「ライフコースの解像度」
8月21日、2021年度の司法試験合格者発表がありました。法科大学院の合格者数で見ると1位慶大125名、2位早大115名、3位京大114名、4位東大96名、5位中大83名となっています。これで驚くのは例年トップの東大が4位に落ちていることです。受験者数が慶大227名、早大233名に対して東大199名と少ないこともありますが、合格率で見ると慶大55.1%、早大49.8%に対し、東大48.2%となっており、慶大、早大に劣っていることが分かります(京大は受験者数185人、合格率61.6%)。
最近の傾向として様々な分野で慶大、早大出身者が活躍し、東大出身者があまり目立たなくなっていることもあり、今年の司法試験合格者の結果は、ついに慶大、早大が学力でも東大に追いつき、追い抜いたことが伺えます。勿論法科大学院の場合、入学者は各大学の卒業者ばかりでばく他大学の卒業者も含まれていますので、単純に各大学の学力比較はできませんが、傾向は出ると思われます。勿論東大出身者には化け物みたいに頭がいい人がいるのは事実ですが、ある基準を超える人の数で見れば慶大、早大と変わらなくなっているように思われます。受験科目が東大法学部5教科7科目、早・慶法学部は3教科3科目であり、5教科7科目という土俵では東大生ができると言えますが、3教科3科目の土俵で見ればほぼ同じレベルか、むしろ早・慶生ができるような感じになっています。この学力がそのまま結果として出るのが司法試験や公認会計士試験、国家公務員試験であり、この3校と京大がいつも上位で競っています。各大学で職業に対する人気が異なり、試験ごとに強い大学が異なるようです(公認会計士2020年度;慶大169人、早大98人、東大49人、国家公務員2021年度;東大256人、早大77人、慶大68人)。
これらの結果からも分かるように、この3大学(+京大)の学生は学力で飛び抜けています。最近の傾向として東大生の官僚志望が弱まり、むしろコンサル会社経由ベンチャー企業起業が人気化しているように思われます。一方早慶は大企業志向が強く、大企業も早慶に対するニーズが強いため、相思相愛の状況です。大企業においては東大生より早慶生の方がニーズは多いと思います。それはOBが多く、かつ活躍しており、当たり外れが比較的少ないからです。一方東大生は彼らの頭の良さを生かす仕事が会社に少なく、かつ東大生は社交性に問題がある人が多いため、それ程必要とされていないと思われます。こうなると大企業では今後ますます早慶の天下となりそうです。地方の大学から東京の大企業に入社した人は早慶出身者の多さに愕然とするはずです。
こう見てくると、社会人では東大出身者よりも早慶出身者の方が優勢のように思えます。なぜこうなるかというと、早慶は系列高校からの内部進学者が約半分であり、その人たちは大学進学は確定していることから、進学後の進路が関心ごとであり、進学時点で卒業後の職業を具体化している人が多いためと思われます。大学に入って弁護士・公認会計になる、三井物産・三菱商事・日本生命・三菱UFJ銀行に入社するなど目標が明確であり、大学入学後目標を達成するために走り出しているように見えます。即ち、早慶生は「ライフコースの解像度」が高いのです。一方東大生は東大に入ることが目的化しており、どんな職業に就くかは入学後考えているように思われます。そのため司法試験や公認会計士試験で早慶生の合格者が東大生を上回り、大企業の入社者の3、4割を早慶生が占める状態になっているように思われます。もう東大に行けても早慶に行った方が良いかも知れません。