買収蔓延県広島選出の岸田首相は金銭疑惑に鈍感
9月29日自民党総裁に岸田文雄氏が選出されました。4人による総裁選が意外に面白かったことから、自民党党員や党友でない一般有権者も岸田氏の選出を祝福し、期待した人が多かったと思います。岸田氏は翌30日から党役員人事や閣僚人事に着手しましたが、決定する度に失望の声が上がっています。特に過去に疑惑が指摘された人が党役員に多く登用されているところは、岸田氏の倫理観の無さを感じさせます。
先ず幹事長に就任する甘利明氏は2016年、経済再生担当大臣だった甘利氏本人と地元事務所の秘書が、千葉県の建設会社の総務担当者から現金と飲食接待を合わせ総額1,200万円の利益供与を受けていた疑いがあると報じられました。建設会社の担当者が甘利氏や秘書とのやりとりを録音していたため、甘利氏は自らと元公設第1秘書が計600万円を政治資金として受け取ったことを認め、経済再生担当大臣を辞任したしました。甘利氏の政党支部などの政治資金収支報告書には、建設会社からの寄付して376万円しか記載されていなかったため、政治資金規正法違反に当たります。この後甘利氏の秘書がURと接触したあと、URは建設会社との交渉に応じ、2億2,000万円の補償金を出していますので、あっせん利得処罰法違反の容疑が濃厚でした。本件は市民団体の告発を受け東京地検特捜部が捜査しましたが、秘書2名は政治資金規正法違反で起訴されましたが、甘利氏は嫌疑不十分として不起訴となりました。しかしこの捜査については安倍政権が起訴しないよう特捜部に働きかけたという声が根強くあります。
また組織運動本部長に就任した小渕優子氏は、2015年小渕氏の後援会が行っていた支援者向けの観劇会で後援会が支払った支出が支援者から集めたとされる収入総額を大幅に上回っていたことが判明し、小渕氏側が費用の一部を負担していたとして、公職選挙法違反の寄付行為、有権者の買収にあたるとして告発されました。これについて捜査した東京地検特捜部は、小渕氏本人の立件は見送り、元秘書2名を政治資金規正法違反で起訴しました。これについても安倍政権が捜査に介入した疑いが持たれました。
国対委員長に就任する高木毅氏に関しては、2012年から2013年にかけて高木が代表を務める政党支部が、香典との名目で選挙区内の有権者に対して法的に問題のある寄付を行っていたことが明らかになっています。また地元では若い頃女性の下着を盗んだと言う話が流布されています。
普通なら総選挙前にこれだけ疑惑のある人物を党役員に起用することはありません。これからマスコミや野党に取り上げられることは必至であり、自民党の得票を減らす原因になります。これを岸田氏が起用したのは、岸田氏が広島県選出であり、金銭問題に鈍感だからと思われます。広島県では2019年7月の参議院議員選挙で河井克行衆議院議員と立候補していた妻の案里氏が投票の取りまとめのため地元の議員や首長44名、その他56名に約2,870万円渡した買収事件が発生しています。この選挙は反安倍の岸田派の重鎮議員と安倍氏が支援する案里議員の骨肉の争いであり、後日自民党本部から河井陣営に1億5,000万円の選挙資金が配られていたことが分かりました。これについて岸田氏は、この資金が買収資金に使われなかったことを証明しなければならないと主張していましたが、自民党は9月22日、河井事務所が発表した政治資金収支報告書に基づき、「買収には使われていない」と発表しました。これに対して岸田氏は、「必要があれば説明する」と述べるだけで、熱心ではありません。広島のこの事件は、44人もの公職者が票の取りまとめのためにお金を受取っていたことに特色があります。他の地方でこれだけの公職者が買収されることは考えられません。これは、広島では選挙の買収が一般化していることから起きた事件と考えられます。その証拠にお金を受取った公職者の殆どが公職に留まっており、中には選挙で再選された議員もいます。岸田氏はこんな風土の中で育っており、金銭のやり取りやルール違反に対して鈍感になっていると思われます。とんでもない人を首相にしてしまったかも知れません。
(甘利幹事長は3日のNHK番組で、2019年参院選広島選挙区の買収事件を巡る河井氏陣営への1億5,000万円について「再調査する考えはない」「説明したのが全てだ。金額と領収書は全て合っている」「選挙管理委員会で閲覧できる。それを見てほしい」と述べたということです。犯罪人の事務所が作った報告書が信頼できるはずがありませんから、理由になっていません。疑惑を抱える甘利幹事長ではこうなるのは当然です。やはり自民党は一旦廃止しないとダメです。)