NHK受信契約を合憲とした最高裁判事に×印をつけよう

総選挙は10月19日告示、31日投票と決まったようです。当初の予想を2週間程度前倒ししたものとなっており、岸田政権が誕生したご祝儀選挙を期待したものと思われます。

今回の総選挙では最高裁判所裁判官の国民審査が行われます。

この制度は、憲法79条2項と3項および最高裁判所裁判官国民審査法に定められた制度で、最高裁判所裁判官は任命後初めて行われる衆議院議員選挙の際に国民の審査を受けるとされているものです。最高裁判所裁判官は内閣が任命しますが、根本的任命権者は国民であり、国民に罷免権を与えたものと言われています。

私が今回これを取り上げたのは、2017年12月最高裁判所(最高裁)は国民の大多数が不条理と考えているNHK受信料制度を定めた放送法を合憲と判断したことを思い出して欲しいからです。

2017年12月、最高裁が受信料制度を定める放送法(64条)について判断を下すことになり、受信料に苦しむ多くの国民は最高裁が違憲判決を下すことに期待しました。ところが、期待に反し裁判官全員一致の合憲判決でした。この裁判は小法廷が扱っていたものを大法廷に回付されましたので、小法廷の裁判官は違憲の疑いがあると考えていたと思われましたが、その裁判官さえ合憲の判断でした。この裁判については、法務大臣が最高裁に異例とも言える意見書を提出していましたから、法務省としても違憲判決が出ることを恐れていたものと思われます。放送法64条はそれくらい違憲の可能性が高い悪法でした。違憲の根拠としては、先ず第一に、意思の尊厳という基本的人権の中心となる権利を侵害し受信契約を強制していることが挙げられます。これは結婚を申し込まれたら断れないということと同じですから、如何に不当か分かると思います。また、受信料が見る、見ないに関わらず支払いを求められる理由として、受信料は公共放送を維持するための負担金だから説明されていますが、それなら受信料の実体は税金ということですから、所得に応じて負担するのが公平なのです。それを受信契約に基づく支払いだからとして、所得に関係なく受信対象世帯一律の負担としています。その結果所得1,000万円の世帯にとってはなんのこともない負担(0.26%)が、所得200万円の世帯では重たい負担(1.33%)となっているのです。これは公平な負担とは言えず、違憲です。また、受信料は、生活保護世帯は免除になっていますが、実質的には生活保護を受けられる生活水準にありながら、申請せず頑張っている世帯からも取り立てています。住民税非課税世帯からも取り立てているのです。これは健康で文化的な生活を営む権利を侵害するものです。

これ程分かり易い違憲な法律を最高裁が合憲と判断したのは、もし違憲判決を出したら受信料を払う人がいなくなること、更には過去に支払った受信料の返還が必要になることでNHKの放送が停止に追い込まれてしまうことを危惧したためと思われます。一般の裁判では法律解釈としては違法だけれど、違法状態に基づき多くの利害関係が成立しており、現状の安定に配慮すると違法とは判決できないという事情判決が出されることがありますが、憲法判断では事情判決は認められません。それは憲法が国の大枠を決めたものであり、大枠をはみ出した状態は認められないからです。例えば、2階建て建物の2階部分が道路にはみ出している状態が認められないのと同じです。憲法問題の場合、形の有るものの場合と違い、違憲状態が目に見えないため一般の国民は認識できません。

しかし違憲は違憲とはっきりさせないと、憲法が死文化します。最高裁が憲法判断で事情判決を繰り出しているため、今の日本国憲法はお題目にも劣る状態です。

そしてNHKはこの合憲判決を根拠として受信料未払い者を裁判に訴え受信料を取り立てています。この受信料にはBS放送分が含まれ、BS放送にはついては国会で公共放送とは言えないのではないかとの指摘があり、NHKは「取り扱いを検討する」と答えたまま14年間放置しています。これだけでも違法であり、違憲と言えます。

これを合憲とした最高裁判事は職務放棄と言え、罷免が相当です。10月31日の審査では必ず×(罷免相当)を付けるようにしましょう。尚、2017年12月当時在籍の裁判官は少なくなっています(4名)が、最高裁はこのときの合憲判決を維持しており、これに不満を表明するためにも裁判官全員の罷免が相当です。