18歳で司法試験に合格するなら大学付属学校に限る
慶応大学法学部1年生の大槻凛さん(男性)が今年18歳で司法試験に合格したという報道です。司法試験の場合一般的なルートは大学法学部(4年)を卒業し、法科大学院(2年)に進学し、卒業後司法試験を受けるコースです。これだと早くて24歳での合格となります。
これ以外に独学や司法試験予備校に通い、予備試験を経て司法試験に合格するコースがあります。これだと大槻さんのように18歳で司法試験に合格することが可能となります。
予備試験コースでは2018年にも19歳で合格した人が出ていますから、大槻さんの18歳という年齢自体は驚くことではないかも知れません。
大槻さんの場合で注目されることは、今後若年で司法試験や公認会計士試験に合格する黄金ルートが見えてきたことです。大槻さんは小学校から慶応の付属(慶応幼稚舎→慶応普通部→慶応高校→慶応大学)です。そして普通部(中学)1年の特別授業で裁判を傍聴したことが司法に関心を持つきっかけになったということです。中学2年からは1人で裁判の傍聴に行っていたということですから、早くから司法に接していたことが分かります。裁判の傍聴なんて法科大学で初めて経験する人が多いと思います。裁判の傍聴から必要な知識が決まってきますので、勉強が実務的になります。高校から法学部に進学した学生の場合、司法実務を知りませんから雲をつかむような法理の勉強から始まり、なかなか実務的な法律知識が身に付きません。大槻さんの場合、裁判の傍聴が司法試験勉強のガイドラインになり、合理的な勉強に繋がったと思われます。
それに慶応大学付属の学校の場合、将来的に慶応大学への進学が保証されており、上級学校へ進学するための受験勉強をする必要がありません。開成や灘などの有名私立中高一貫進学校に進んだ場合、先ず中学受験、その後大学受験に相当のエネルギーを費やすこととなります。それが慶応大学のような付属学校に入れば、これが無くなりますので、この時間を将来取得したい資格の勉強に充てることが出来ます。このため慶応大学の場合、付属高校からの進学者は司法試験ばかりでなく公認会計士試験でも若くして合格している人が多いと思います。このように無試験で大学まで進学できる特権は、使い方によっては大変有効です。特に現在では高校でも大学進学後を見越した教育に力を入れており、そのために普通科や理数科に代えて探求科を設置し、個人の関心を伸ばす教育が増えてきました。今後は高校で教える内容と大学で教える内容に連続性を持たせるために、高校で大学の研究者が授業をする、或いは高校生が大学の授業を受けられるようになるとのことです。こうなると大学付属高校は更に有利となります。大学入学試験がありませんから、高校3年時に大学の授業を受講出来るようになります。そうなると大学進学後は3年で単位を取得し終わり、卒業できるようになると思われます。或いは余った1年を利用して留学する学生も増えると思われます。優秀な学生を社会に送り出す観点から大学にとっても良いことです。
このように大学付属学校への進学は、将来なりたい職業が決まっている学生にとっては、夢を実現する近道とも言え、そこへの進学は、早慶を中心として私立中高一貫校への進学を上回るプラチナチケットとなりそうです。