自公過半数割れが確実なこれだけの理由
10月14日の衆議院が解散され、総選挙が19日に告示されます。新聞では、自民党で過半数維持、少なくとも自公で過半数を下回ることはないという報道が多いようです。一方週刊誌などでは、自公で過半割れもあるという報道も見られます。
岸田政権誕生後の新聞各社の世論調査を見ると、支持するは45%から63%までバラついていますが、歴代の新政権と比べると低くなっています。10月15日の時事通信の調査では40%となっており、更に低下していることが伺えます。時事通信と言えばテレビの政治関係の解説で引っ張りだこの田崎史郎氏で分かるように、自民党政権の懐に入り込んだ報道機関であり、自民党政権に不利な報道はしないという特徴があります。それがこれだけ低い数字を報道したということは、実体はもっと低い可能性があります。なぜこうなったかと言えば、岸田首相の公約が次々に反故にされているからだと思われます。先ず広島3区の河合克行元衆議院議員およびその妻案里元参議院議員に自民党本部から配られた1億5,000万円の選挙資金について、岸田氏は当初「問題は金が何に使われたかだ」「必要があれば説明する」と言っていましたが、その後河井事務所から自民党に1億5,000万円は買収資金には使われていないという報告書が提出され、これを甘利幹事長が了承すると、「自分も了とした」として主張を引っ込めています。公約の1つだった金融課税の強化についても、岸田政権誕生後の株価暴落を見て、当面手を付けないと後退させています。さらに極めつけは、岸田首相の看板公約だった「令和の取得倍増計画」がどこかに行ってしまったことです。自民党の選挙公約にも入っていませんし、15日には山岸経済再生担当大臣が「文字通りの『所得倍増』というものを指し示しているものではなくて、多くの方が所得を上げられるような環境を作って、そういう社会にしていきたいということを示す言葉だと総理はおっしゃっているじゃないですか」と述べ、部下の大臣が首相の公約を改変しています。こうなると岸田首相の言うことは誰も信じなくなります。これらが時事通信の支持率40%に表れているように思われます。
これが無くても総選挙で自公が過半数を割るのは間違いありません。以下に理由を述べます。
先ず第一に今年7月の東京都議会選挙で自民党が33議席に留まったことを見れば、自民党支持者のある一団がごっそり抜けていることが分かります。都民ファーストの会が31議席獲得していますので、この抜けた一団は都民ファーストに移っていると考えられます。或いは前回の選挙で自民党から都民ファーストの移った一団が戻っていないとも言えます。私は、この一団の実体を無党派層の「とりあえず自民党」的な人々と想定していましたが、どうも違うようです。コロナで苦境に陥った人たちの可能性が高いと思われます。営業時間の短縮などを求められた飲食店や人流抑制の影響で売上が減った小売店や宿泊客が減ったホテルや旅館業に従事する人たち、および雇止めや勤務時間が減った非正規およびアルバイトの人たちです。これが正しいとすれば、総選挙でもこの人たちが自民党に投票するとは思えず、この分自民党の得票が減ることになります。その数は1,000万票くらいと予想します。
第二に安倍政権7年8カ月の破廉恥政治に憤懣を蓄積してきた人たちです。安倍政権では森友や加計問題など安倍首相のお友達を巡り疑惑が発生し、公文書偽造という官庁の腐敗まで明らかになりました。また政治家の金銭を巡る疑惑が多数露見し、これを安倍政権は司法に圧力を掛けて握り潰しました。これを見て義憤にかられた国民は多く、これをぶつける総選挙を待ちわびていました。この人たちは自民党に投票しません。この数も1,000万票と予想します。
第三にNHK受信料に不満を持つ人たちが自民党に投票しません。受信料未払い者は受信世帯の約18%おり、約800万世帯となります。1世帯当たり1.5人の有権者がいると仮定すると未払いの有権者は約1,200万人となります。この人たちの多くは自民党に投票しませんし、受信料を払っている人でも受信料に不満を持っている人たちは、自民党に投票しません。この数も1,000万票位と予想します。
第四に選択的夫婦別姓を求める人たちが自民党に投票しません。これを望む人も増加しており、新聞などの調査を見ると賛成が多数を占めています。これを阻止しているのが自民党であり、野党立憲民主党が賛成していますので、この人たちは立憲民主党に投票することは確実です。この数は500万票位と予想します。
その他にも現状の生活に不満を持つ人たちは多く、これは岸田首相になったからと言って解消されるわけではないので、自民党には投票しません。この数を500万票位と予想します。
これで自民党に投票しない人たちは4,000万人くらいになります。それに野党固有の支持者を加えると6,000万人を超えてきます。有権者数が約1億人ですので、自民党に投票しない人の割合は6割を超えます。この結果自民党の得票は多くて40%となり、新聞の世論調査の支持率とほぼ一致します。世論調査の結果は自民党を支持しない人たちが60%以上いることを示しており、今回の総選挙でこれがそのまま結果として出ると思われます。
それに今回の総選挙では投票率が大きく上がります。前回の投票率は53.68%で、前々回が52.66%と低くなっていますが、その前はずっと59%以上であり、70%を超えたことも多数あります。今回は安倍政権で嫌な思いをたくさんしたこと、コロナで生活が激変したこと、また自民党総裁選で投票できず悔しい思いをしたネット民が多いことを考えると、得票率が少なくとも60%を超えると予想されます。
これらに基づき私が総選挙の結果を予想すると、
自民党 200議席(△78議席)
立憲民主党 188議席(+78議席)
公明党 25議席(-4議席)
維新 12議席(+2議席)
この結果、自公は225議席で過半数(233議席)を割り、維新及び国民民主と連立を組んで政権を維持できるか、或いは政権交代もあると予想します。
(尚、今回の総選挙では公明党が議席を減らすことも確実です。公明党は選挙の度に得票数を減らしており、2019年の参議院選挙比例代表では約653万票となり、前回より約100万票減らしています。2009年の衆議院選挙の805万票と比較すると約150万票の減少です。今年7月の東京都議会選挙でも前回と比べ約10万票減少したという報道ですので、総選挙では600万票割れもあると思われます。同時に投票率が上がりますので、議席減少は確実です。)