岸田首相は「令和の無責任男」?

10月4日に岸田首相が誕生してから2週間程度が経過し、19日に総選挙が公示されます。新聞の予想では総選挙は11月中旬以降となっていましたから、驚きの前倒しです。これは自民党総裁選挙の盛り上がりを逃したくないこと、新首相誕生のご祝儀相場を享受したいこと、時間が経てば得点よりも失点が増える可能性が高いことなどを考慮した結果だと思われます。新政権誕生後の新聞世論調査では、岸田内閣の支持率は45%から63%とバラツキが見られますが、過去の新政権誕生直後より低くなっています。一番新しい15日の時事通信の世論調査では40%となっており、早くも低落傾向であることが伺えます。これまでの新聞報道では、総選挙では自民党単独過半数または自公で過半数は可能という予想が多いですが、時事通信の40%を境にして今後厳しい予想が増えると思われます。私の予想では自公での過半数獲得できません。なぜこうなるかと言えば、安倍政権7年8カ月の破廉恥な政治に憤懣を持っている人が多いこと、コロナで生活が苦しくなった人が多いことが主な原因ですが、これに加えて岸田首相の言うことが次々に反故にされていることがあります。岸田首相は人の意見をよく聞くことを自分の長所に挙げており、それは当初国民に好意的に捉えられていました。総裁選前には、森友事件については必要ならば再調査を行うと述べていましたが、その後もう調査は行わないと前言を撤回しました。これは森友事件の当事者である安倍元首相や麻生財務大臣(当時)の支持を得るためだったと言われました。またこの当時は、広島3区の買収資金源になった可能性がある自民党本部から河井克行元衆議院議員およびその妻案里元参議院議員に配られた1億5,000万円の資金について、「何に使われたが問題だ」「必要があれば調査する」と述べていましたが、その後河井事務所から資金報告書が自民党本部に上げられ、甘利幹事長が了承すると「私もこれを了とした」としてこれも前言を引っ込めました。また岸田政権誕生後株価が暴落すると、公約の1つだった金融課税の強化について、当面は行わないと後退させました。極めつけは、自民党総裁選で岸田首相の看板公約であった「令和の所得倍増計画」が消えてしまったことです。岸田首相の発言からも消えましたし、総選挙の公約にも入っていません。これについて10月15日山際経済再生担当大臣が「文字通りの『所得倍増』というものを指し示しているものではなくて、多くの方が所得を上げられるような環境を作って、そういう社会にしていきたいということを示す言葉だと総理はおっしゃっているじゃないですか」と述べ、岸田首相の公約を修正しています。岸田首相に任命された大臣が岸田首相の看板公約を修正するのですから、岸田政権は機能していないことが分かります。これについてはネットで厳しい批判が成されており、これが拡散され岸田政権の不人気化に繋がりそうです。

ここまでの岸田首相を見ていると、テレビでは雄弁に喋っていますが、どうも聞く人の心に響きません。それは喋り方の問題と言うよりも、内容が自分で考えたものではなく、人から話を聞いて受け入れた内容だからのように思われます。だから思い入れや情熱が感じられないのです。そんな主張だから、容易に撤回、反故にされるのでしょう。これを見ると国民の期待が消えるのも当然です。岸田首相は「令和の無責任男」と思われて来ています。