公明党をのさばらせると自民党支持者が維新に移る

自公連立政権で公明党の強気の姿勢が目立ちます。選挙公約に掲げた18歳以下に10万円の現金給付の公約は、所得制限付きなどの修正が加わりましたが、ほぼ実現したと言って良いと思われます。更にマイナカードに3万円分のポイントを付ける言う公約も実現するようです。このように自民党は公明党の要求を断れなくなっています。それは11月の総選挙で自民党は261議席を獲得しましたが、殆どの候補が公明党支持団体である創価学会員の投票がないと当選できないからです。公明党は2019年7月の参議院選挙比例区で約653万票を得ており、これが現在の創価学会員の有権者数だと思われます。有権者総数(1億562万人)の約6.2%に過ぎませんが、創価学会員はほぼ全員投票すると考えられ、投票率約50%からすると投票者数の約12%となり、この票が当落を左右する自民党候補が多くなっています。従って自民党は創価学会に生殺与奪の権を握られていることになります。このため公明党が強気になっているのです。また公明党側には、創価学会員から選挙ばかりでなく財務支援(寄付)も受けており、目に見える形でお返しをしなければならないと言う切羽詰まった状況もあるようです。

公明党は自民党候補の選挙支援を行うばかりでなく、公明党が候補を立てる選挙区では自民党は候補を立てず、公明党候補を支援することを求めています。大阪や兵庫の公明党が強い選挙区ばかりでなく、東京12区や広島3区の自民党が候補を立てた方が良いと思われる選挙区まで公明党公認候補としています。この結果、公明党、というより創価学会を快く思わない自民党支持者が離れていることに注意する必要があります。それが伺える選挙区が東京12区です。ここでは先の衆議院総選挙で公明党候補が101,020票を得て当選しましたが、2位の日本維新の会(維新)の候補は80,323票を得ています。維新は東京選挙区では1人も当選していませんが(比例区で重複立候補者が2名当選)、候補を立てた選挙区では自民党候補の約半分の得票率となっています。それが東京12区では公明党候補の約8割の得票率になっています。これは自民党支持者が公明党候補に入れず、維新の候補に入れたことが原因だと思われます。公明党のバックは創価学会と言う宗教団体であり、自民党支持者は信仰とは言えないまでも葬儀などでは浄土宗や浄土真宗などを利用している人が多く、公明党に投票することには抵抗があります。これは全国皆同じだと思われます。ただし選挙区の候補は自民党候補が多く、公明党に投票する場面がないことで東京12区のような現象は見られません。大阪や兵庫の選挙区で自民党候補でなく公明党候補が立候補している選挙区でも自民党支持者は東京12区と同じような葛藤があると思われ、もし維新が候補を立てたら、自民党支持者は維新候補に投票する人が多くなると考えられます。このようにして1度維新に投票した自民党支持者は自民党から維新に移行することになります。両党の主張が近いことが移行を容易にします。

自民党は自民支持者の公明党、というより創価学会アレルギーに配慮しないと、今後維新の活躍に伴って自民党支持者が維新に移る動きを加速することになります。