次はソフトバンクGがみずほ銀行にTOBをかける?
みずほ銀行(みずほ)が度重なるシステム障害で金融庁から業務改善命令を受け、3首脳が退陣することになったようです。今回のシステム障害を引き起こした最大の責任者は10年以上みずほフィナンシャルグループのトップに盤踞する佐藤会長であることは、銀行業界に詳しい人なら自明ことです。しかし報道では、みずほ銀行の藤原頭取とみずほフィナンシャルグループの坂井社長はシステム障害の責任をとって来年3月末で辞任、佐藤会長は3月末で会長を退任する(6月の株主総会まで取締役として残る)となっています。このように今回のシステム障害に一番責任がある佐藤会長は、引責辞任ではないことになっています。「辞めることには変わらないのだから、そこはどうでも良いではないか」という考えもありますが、引責辞任でないのなら佐藤会長は後任の社長、頭取人事に影響を及ぼすことが確実です。佐藤会長は10年以上に渡ってみずほの首脳人事を差配しており、今回のシステム障害とみずほ没落をもたらした戦犯です。戦犯には一番重い処分が必要です。
業界ではみずほの首脳をみずほから出していたら、また同じことを繰り返すという見方が大半です。それは今回のシステム障害はみずほの体質が原因となったものであり、その体質はみずほの行員全員で作ら上げたものだからです。金融庁の行政処分発表文では、この体質を「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」と表現しています。金融庁が外部への発表文でここまで貶すのは珍しいと思われます。
ではどうしたらよいかにつき、DIAMOND ONLINEに楽天経済研究所客員研究員の山崎 元氏が私見を書いていました。その中で山崎氏は、住友銀行OBまたは三菱銀行OB(三井とUFJが入っていないが意図的?)を首脳に迎えること、みずほを解体し三井住友銀行および/または三菱UFJ銀行に吸収合併するというプランを上げていました。日本の金融システム強化の観点からは良いプランだと思われます。私の考えでは、三菱UFJ銀行は官僚的な体質であり、みずほの行員にとっては一番馴染みやすいかも知れませんが、これでは不効率な巨大銀行を作ることになります。これに対して三井住友銀行は激しい競争風土であり、みずほの甘々の風土を洗浄するには効果的だと思われます。だから吸収合併するなら三井住友銀行です。
これに加えみずほを再生するもう1つの方法があります。それはソフトバンクグループ(SBG)がみずほにTOBを掛けることです。SBIが新生銀行にTOBを掛けたことからの連想です。SBGの孫社長とSBIの北尾社長はかっての盟友であり、北尾社長が新生銀行のオーナーになるのなら、孫社長がみずほのオーナーになって釣り合います。みずほの時価総額は約3兆6千億円(2021年12月4日)であり、これにSBIのように4割のプレミアムを付けても約5兆円です。自己資本は9兆円以上ありますので、お得な買い物となります。SBGは10兆円を超える資金を動かせるので、実行可能です。孫社長も60歳を超え、精神衛生上よくないベンチャー投資は向かなくなっています。これまで名声をほしいままにした孫社長の最後のポストは、巨大銀行みずほのオーナーがふさわしいように思われます。