NHK受信料がテレビ離れを加速する

フジテレビが希望退職を募集したと言う報道です。フジテレビと言えばかってバラエティやトレンディドラマでテレビ界を席巻した学生憧れの会社です。最近は視聴率が振るわず、社員のコネ入社で有名になっていました。それでもテレビ局は免許制で数が制限されているため、在京キー局なら十分な利益を出せる環境にあります。事実フジメディアグループの2021年9月中間決算は、売上高2,416億円(前年同期比-2.2%)、経常利益187億円(前年同期比+97.3%)と立派な業績です。従ってフジテレビの希望退職募集は、業績が悪化した企業の再建策(リストラ)とは異なります。それでも今回フジテレビが良好な決算の中でイメージが悪くなる希望退職の募集に踏み切ったのは、今後の放送事業に対する危機感の表れと言えます。

フジテレビに危機感を持たせている最大のものはインターネットの増殖です。今では若者を中心に情報はテレビよりもインターネットで入手するのが普通になっています。これに伴いネット広告が増大し、2019年にはテレビ広告1兆8,612億円に対し、ネット広告2兆104億円とネット広告がテレビ広告を上回りました。これに輪を掛けたのが2020年からのコロナ流行です。コロナ流行により在宅勤務や外出できない状態が続き、必然的にテレビやネットが娯楽となります。テレビはロケや取材ができない、ドラマが撮影できないなどで放送内容が劣化したため、評判を落としました。また人流抑制や営業規制の影響で、企業の広告ニーズも減りました。一方インターネットは活況で、在宅者の増加によりインターネットをする人が増え、繋がりにくい状況が見られました。そのためネット広告もテレビ程落ち込んでいないようです。

今年はテレビの広告収入も回復していますが、インターネット広告収入との差は拡大していると思われます。テレビ局は、今後テレビ広告は益々減少する前提で経営計画を組まざるをなくなっています。

フジテレビの希望退職募集のネット記事の書き込みを見ると、フジテレビのこと以外にNHKに対する不満の書き込みが目立ちます。その中で多いのが「NHKこそリストラして受信料をさげるべき」という主張です。フジテレビが希望退職の募集に踏み切ったのは、フジテレビの視聴率が落ちてることが背景にあり、NHKは全く見ていないのに受信料を払わされることに怒っている人が多いことが分かります。11月2日には最高裁小法廷がNHKを映らなくした装置を取り付けたテレビであっても受信契約の対象となるという判決を出しましたが、これのネット記事に対する書き込みでもNHK受信料に対する不満が溢れています。これを読むと解決策としてテレビ受像機を持たないことにした人が増えています。そしてその結果何の支障もないと述べています。実際テレビを良く見ている人は60歳以上であり、20代以下の若者はテレビを殆ど見ないようになっています。この状況で月2,170円(一例)の受信料を強制徴収するNHK受信料制度は、NHKだけでなくテレビ全体に対する若者の反発を招き、テレビは要らないという動きを加速しています。NHK受信料制度は、テレビを衰退させる悪魔の制度になっています。