ノーベル賞の真鍋氏は間違いなく日本人!
12月13日の毎日新聞電子版に「ノーベル賞・真鍋さん 米国籍で漢字表記、なぜ? 「日本人」線引きの違和感」という記事がありあました。「はあ、やっぱり出たな。自称インテリが」が思って記事を読みました。この記事をもう少し引用すると、
「地球温暖化予測の礎を築き、今年のノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎・米プリンストン大上席気象研究員(90)。その真鍋さんに対し「日本人として誇らしい」という称賛の声が上がっている。でも、ちょっと待ってほしい。真鍋さんは米国籍を持つ、正真正銘の米国人である。こういう時だけ「日本人扱い」するのはどうなのか。なんだか違和感を覚えた。」
と書いてあります。
真鍋氏がノーベル物理学賞を受賞したとき、私が先ず驚いたのは受賞対象でした。コンピュータシュミレーションによる気象予測という物理学上の発見発明ではなく、コンピューターの利用技術の功績だったからです。コンピューターシュミレーション技術は、各分野で発展を続けており、気象予測は他の分野と比べると決して進んでいるとは言えないと思います。それは利用できるデータが限られるからです。今回真鍋氏にノーベル賞が与えられたのは、地球温暖化の回避が世界的課題となっており、それの解決に寄与する技術だったからと思われます。しかしこれは物理学上の画期的な発明や発見に対して与えられるというノーベル物理学賞の本来の主旨から少し外れるように思われます。
真鍋氏のノーベル物理学賞が決まっても日本ではあまり盛り上がりませんでしたが、それは日本の国民に、真鍋氏が米国籍であることから日本人として喜んでいいものなのかどうかという戸惑いがあると共に、受賞理由に違和感があったためと思われます。
このため真鍋氏のノーベル物理学賞受賞については、ここで毎日新聞の記者が取り上げる程国民的話題にならず、日本人何人目という報道も少なかったように思われます。確かに真鍋氏の受賞直後岸田首相は「日本人として大変誇らしい」と述べましたが、その後この話題には触れていません。文部大臣なども余り触れていないと思います。それは真鍋氏が日本人の受賞として扱われることを嫌って、日本のマスコミなどと一切接触しなかったこともありますが、日本側も米国籍であることから取り上げることを憚ったからと思われます。
このように今回の真鍋氏のノーベル受賞についての日本の対応は、極めて抑制的であり適切なものでした。一番不適切な対応は、毎日新聞のこの記事です。
この記事の中で、真鍋氏は米国籍だから日本人ではないというような書き方をしていますが、真鍋氏は間違いなく日本人です。あの姿・形、ネイティブな日本語、同調圧力に弱い性格など典型的な日本人です。米国でも真鍋氏を見て生粋の米国人と見る人はいなと思います。先ず日本人(アジア人)だと認識し、その後帰化して今は米国籍なんだな、と思うでしょう。だから真鍋氏は明らかに日本人であり、国籍が米国なだけです。米国在住の2世や3世の日系米国人とは違います。
だから真鍋氏のノーベル賞受賞を日本人の受賞として喜ぶことも、日本人28人目とカウントすることも全くおかしくありません。例えば、米国人が東大で研究し、その後日本に帰化してノーベル物理学賞を取ったとして、日本では日本人の受賞と考えるでしょうか。米国人の受賞と考えると思います(ただし、マスコミ報道では差別にならないよう日本の受賞としてカウントする)。このよう現実的に考えると毎日新聞の記事が的外れであることが分かります。