特定研究大学は東大・京大の2つでよい

文部科学省は「特定研究大学」制度の創設を目指して今年の通常国会で法整備を行うとの報道です。「特定研究大学」制度は、日本の産業復興のためには世界と肩を並べる研究力のある大学を作る必要があるとの考え方から出てきた構想です。この構想が大学にとって魅力的なのは、政府がこれに関連して創設する計画の10兆円ファンドの運用益から支援を受けられるからです。この結果特定研究大学は資金運営規模が巨大になることから、「経営と教学の分離」、経営トップや事業財務担当者(CFO)らによる「合議体の設置」など企業に近い運営対体制が求められることになります。構想の具体的内容は現在詰められている段階のようですが、特定研究大学に指定されるのは現在指定国立大学に指定されている10の国立大学からになるようです。指定国立大学は地域性や歴史が考慮され10校の指定になっていますが、応募書類をみると計画に具体性がないものが多く、とりあえず指定を取っておくかという大学の思惑が透けて見えます。だからこの指定によって大学が今より大きく変わることはないと思われます。本来指定国立大学は指定数を5校程度に抑え、5年に1度入れ替えがあるようにするなどもっと権威のある制度にすべきでした。

そんな中で10校の指定国立大学の中から特定研究大学を指定するとなれば東大と京大しかありえません。この2大学は日本の誰ものが認める東西のトップ大学であり、日本のノーベル賞受賞者の大多数はこの2大学の卒業生です。それ以外の大学は学生の学力が大きく劣りますし、研究者の能力も相当落ちると考えられます。従って成果を出せる確率が著しく落ちます。日本の大学で世界のトップクラスの大学と研究力で伍して行けるのは東大と京大のみです

東大と京大を特定研究大学に指定する場合、もう1つした方がよいことがあります。それは両大学の定員を今の半分にすることです。というのは、18歳人口が1992年の約205万人から2021年には114万人へ4割以上減少し、2024年には5割以下になると予想されており、東大および京大入学の難易度も半減していると考えられるからです。現在の入学者の多くは、中高一貫進学校で6年間の東大・京大合格のための受験教育を受けた学生であり、入試問題は解けても素の学力は大したことない学生が多くなっています。これを半分に減らせば1992年当時のレベルになると考えられます。こうしないと東大・京大も本当に優秀な学生が集まった大学とは言えませんし、優秀な研究者や起業家は生まれません。