メガバンクに就職すれば一生安泰な訳

地方にいると三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行というメガバンクの支店が少なく、その凄さを実感することはないと思います。地方には地方の雄と言われる地銀があり、地方経済に圧倒的影響力を持っています。従って地方の大学生にとっては、その地方最大の銀行に就職できれば就職活動は成功したと言えます。

私は東京に出て初めてメガバンクの前身である三菱銀行、住友銀行、三井銀行、第一勧業銀行、三和銀行などの都市銀行を知ることとなりました。最初の都市銀行との付き合いは、就職した会社のメインバックである第一勧業銀行(今のみずほ銀行)でした。そして最初に銀行の本店を訪れたのは、20代後半に日本興業銀行本店でした。外壁が黒い色の石(大理石?)でできている重厚なビルで、メーカーの安っぽい本社とは大違いだったことを覚えています。そこで初めて「銀行って凄いな」と思いました。後で分かったことですが、日本興業銀行は大企業に融資する産業金融専門銀行で、日本の銀行で一番格式が高い銀行でした。確かに威厳がありました。その当時の日本興業銀行の総資産が約40兆円くらいでした。都市銀行最大の三菱銀行が総資産100兆円くらいで、それ以外の都市銀行も50,60兆円はあったと思います。

都市銀行は高給だったことから、当時学生の人気ナンバーワンの就職先でした。当時はこれがその後3つのメガバンクに集約されるとは全く予想できませんでした。都市銀行が3つのメガバンクに集約される原因となったのは、1980年代のバブル期に上昇した土地価格を担保に融資を拡大し、それが1990年代に入ってバブルが崩壊、土地の価格が低下し、回収できない融資が増えたからです。これを損失化すれば債務超過となる都市銀行もあったと思われます。このため都市銀行を統合し、体力を増強する必要が生じました。先ず統合したのは1996年に三菱銀行と東京銀行でした。その後都市銀行は我先にと合併を行います。2000年には住友銀行とさくら銀行が合併し三井住友銀行が、2001年に日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行が合併しみずほ銀行が、2006年には三菱東京銀行とUFJ銀行が合併し三菱東京UFJ銀行が誕生し、現在の3メガバンク体制となります。三菱銀行や住友銀行などの都市銀行単独でも巨大銀行でしたから、これらが合併した銀行はメガバンクと呼ばれるようになりました。

現在メガバンクトップである三菱UFJフィナンシャルグループを見れば、メガバンクのメガたる理由が分かります。三菱UFJフィナンシャルグループの総資産は約360兆円(2021年3月期)です。これに対して福岡県最大の地銀である福岡銀行の総資産は約20兆円となっています。20兆円も巨大な金額ですが、三菱UFJフィナンシャルグループの360兆円からすると18分の1です。360兆円を1%で運用すれば年間3兆6,000億円の収入となり、従業員約138,000人に1人年間2,000万円支払う(約2兆7,000億円)ことも可能です。これから分かることは、日本が破綻しない限り三菱UFJフィナンシャルグループが倒産することは無く、一旦就職すれば一生安泰だということです。三井住友フィナンシャルグループが総資産約242兆円、みずほフィナンシャルグループが総資産約225兆円ですので、同様です。

このようにメガバンクは日本有数の資産家であり、ここへの就職は、富裕層クラブに入会したのと同じと言えます。その他生命保険会社、損害保険会社も同じような状態です。