無差別殺傷事件を防ぐには生きることの保障が必要
最近将来に悲観し無関係の市民を道連れにする無差別殺傷事件が頻発しています。大学共通テストがあった1月15日、東大農学部付近の歩道で受験生ら3人が17歳の少年に刺傷されるという事件が起きました。逮捕された少年は「勉強がうまくいかず、事件を起こして死のうと思った」と供述しているようなので、無差別巻き添え事件です。直近の大規模なものとしては2021年12月17日に大阪で発生したクリニック放火事件が挙げられます。この事件では無職の61歳の男性がたまたまクリニックに居合わせた患者やクリニック関係者を道連れに自殺を図っています。この際25名の方が犠牲になっています。2021年10月31日には京王線の車内で24歳の男が刃渡り約30センチの刃物で乗客に切りつけ、17人を負傷させ、更に車内にオイル3リットルをまいて放火しています。この際逮捕された男は警察の取り調べに対し「誰も死なず、非常に残念な気持ちで落ち込んでいる」と話しており、無差別殺傷事件であることが明確です。 この事件から8日後の11月8日には走行中の九州新幹線「さくら401号」の車内で69歳の男が床に液体を撒き、紙に火をつけて投げ込むという事件が起きています。火はすぐ消し止められましたが、逮捕された男は「京王線の事件を真似しようとした」と述べ、部差別殺傷事件を狙っていたことが分かっています。
こうなると都会の電車や地下鉄、デパート、映画館など人が密集している場所はいつ同じことが起きるとも限りません。これらを利用する場合、常に緊張感を強いられることになります。中には護身具を携帯する人も増える予想されます。こうなると日本は安全と言う話も昔のこととなりそうです。
この状態を解決するためには、このような事件を引き起こすこととなった原因を解消する必要があります。これらの事件の犯人は、自らも命を絶つことを決めており、生きることに行き詰っていると考えられます。それは生活費が確保できないことが一番大きいと考えれます。「生活保護を受ければいいじゃないか」という声が出て来そうですが、多くの日本人にとって生活保護は抵抗感があります。それは自分がそれまで生活保護者を差別してきたことが一番大きいと思いますが、社会全般もそのような傾向があると思われます。
この傾向を改めないとこのような無差別殺傷事件は今後増えると予想されます。それは今後企業では人員削減の動きが強まり、職に就けない人が増加するからです。人はぎりぎりまで生きようとしますが、最後に暴発する人が出てきます。これが無差別殺傷事件となります。
これを防ぐには、憲法の生存権を普通の権利とする必要があります。原則本人の自己申告で生活費を給付し、不正があった場合は事後的に処罰する制度にする必要があります。この原資は税収ではなく国債とし、この国債対応分は日銀が買入れることとします。日銀が買入れた国債は実質的に償還済みであり、税収を気にすることなく予算を確保できます。国債は国民の生存権の確保に使うのが最も良い使い方です。このような国民の生存権の保障は、外からの侵略を防ぐ防衛=安全保障に対して、国民の暴発を防ぐ内なる安全保障と言えます。