英国はBBC受信料廃止へ!NHK受信料も逃げられない!
12月17日、英国のメディア担当大臣が公共放送BBC受信料制度の見直しを表明したという報道です。以下ヤフーニュースに載った時事通信の記事を引用します。
『英国のドリース・デジタル・文化・メディア・スポーツ相は17日、公共放送BBCの受信料(ライセンス料)制度を見直すと表明した。動画配信サービスのように、視聴に対して課金する仕組みを軸に検討する見通し。日本のNHKなど世界の公共放送のモデルとなったBBCの動きは、今後の日本の議論にも一石を投じそうだ。ドリース氏は下院での演説で「技術の変化とともに、特に若い世代の視聴者の間で習慣も変化している」と指摘。BBCの長期的な資金調達の在り方、罰則規定を伴う受信料支払い義務について「適切かどうかを今こそ真剣に問うべき時だ」と述べ、近く制度見直しに向けた議論を始める考えを示した。』
2019年12月の英国総選挙で保守党が圧勝し、この結果保守党が掲げた欧州連合(EU)からの離脱が確定的となりましたが、この圧勝の原因はこの選挙の前に保守党のジョンソン首相が「公共放送BBCの受信料廃止を検討する」という公約をしたからです。そうでないと国民の反対が多く議会で長らく承認が採れなかったEU離脱問題がテーマの選挙で推進派の保守党が圧勝するはずがありません。日本では英国の国民が納得しているように思われているBBC受信料制度は、実は国民の激しい憎悪の対象になっていたのです。
BBCの経営は、ほぼ年間約22,000円の受信料(受信機1台当たり)で賄われ、日本のNHKのモデルとなっています。英国では不払いには刑事罰(最高約143,000円の罰金)が科されるため、受信料の支払い率は100%に近くになっています。これに対してジョンソン首相は、メディアが多様化した現在BBCだけ受信料で賄う理由はなく、また受信料が事実上税金となっているとして、視聴する分だけを支払う課金制(スクランブル放送化)が望ましいとの考えを示したのです。
このようにEU離脱と言う重要な選挙の結果を左右したBBC受信料廃止の公約は、保守党としては何としても実現しないといけない公約です。今回の報道はそれが具体的に動き出したということを意味します。しかし実際に廃止されるには少なくとも6年の時間が掛かりそうです。というのは今回のドリー文化相(英国政府)の上記発表は、BBCの新しい受信料として「今後2年間、年159ポンド(217ドル)で凍結し、その後4年間はインフレ率に応じて引き上げる」ことを認める際に出されたものだからです。国民はもっと早い時期に廃止されることを期待していたと思われますが、文化人やメディア関係者の反対が激しく、後退した印象があります。ただしドリー文化相は1月16日のツイッターで、『今回の受信料発表が「最後」になると述べ、高齢者が不払いを理由に脅される時代を終わらす必要があるとし、受信料制度の廃止を示唆した。』(ロイター記事)となっていますので、BBC受信料制度は6年後に廃止され、その後は課金制度(スクランブル化)に移行する可能性が高いと考えられます(BBCは既にネット専門局への移行を目指し準備を始めている)。
英国は保守党と労働党の2大政党制で政権交代があればこの方針もひっくり返るとも考えられますが、EU離脱を巡る選挙で保守党がBBC受信料の廃止を公約に掲げたら圧勝したくらいBBC受信料廃止に対する国民の支持は高いので、労働党もBBC受信料廃止を公約に掲げざるを得なくなります。従って保守党及び労働党いずれになってもこの路線は変わらないと考えられます。
こうなるとBBC受信料がお手本となっているNHK受信料も同じ方向に行かざるを得ないこととなります。NHK受信料に対する日本国民の憎悪はBBC受信料に対する英国国民のそれと同じような状況にあります。今野党が選挙でNHK受信料の廃止、スクランブル化を公約に掲げたら政権を取れること間違いありません。問題は野党にはNHK記者出身の議員が多く、かつNHK労組の支援を得ていることから、NHK受信料廃止、スクランブル化を公約に掲げられないことです。それでも自民党の小野田紀美参議院議員が昨年12月の予算委員会でNHKスクランブル化支持を表明したように、国会議員も悪評高いNHK受信料を守れなくなっており、NHKスクランブル化の流れは止められないと考えられます。