NHK受信料問題、一番悪いのは国会議員

政府は1月26日、放送法改正案を閣議決定したと言う報道です。この内NHK受信料については、受信料の値下げの原資とする「還元目的積立金」を導入するとしています。
これは、NHKの決算で事業収支が黒字になった場合、一定額を除いて積み立て、これを原資に受信料の値下げを行うというものです。またこの制度と同時にテレビを持っているのに受信契約をせず、支払いを逃れる世帯へ割増金を課す制度も導入するとしています。

NHKの2021年3月期決算を見ると、連結決算で287億円の純利益を出していますから、今後はこの利益の大部分が受信料値下げに使われることとなります。これが全額値下げに使われたとしても1世帯当たり毎年約700円、毎月だと約60円(契約世帯を4,000万世帯として計算)程度の値下げにしかなりません。これに繰越剰余金が1,539億円ありますから、これを値下げに充てるとすると1年間だけ1世帯当たり年間約3,800円、月約320円の値下げができます。ようするにこの制度では微々たる値下げにしかならないということです。当然です。NHKの支出に切り込まない限り、大幅な値下げなど出来るはずがありません。政府はNHKの支出については何も言っていませんから、NHKは収入がある分できるだけ使い切ります。従って値下げに使える利益がわずかになるのは当たり前です。その結果、「今年は値下げできません」で終わりとなります。これがこの放送法改正のNHK受信料値下げの効果です。一方受信契約を結ばない世帯には割増金を課すことができるようになりますから、現在受信契約を結んでいない世帯から割増金を取ることとなります。これで増収を図るつもりなのでしょう。このように今回の放送法改正案は、受信者のためではなくNHKのためのものです。

NHK受信料については、NHKが悪者になっていますが、受信料を承認しているのは政府であり、国会議員です。NHKは毎年予算案について政府および国会の承認を受けなければならず、その中にはその前提となる受信料の承認が含まれます。即ち、今の高い受信料は政府と国会議員が決めていることとなります。政府と国会議員が承認しなければ今の高いNHK受信料は存在しないのです。これが分かれば、受信料に対する不満はNHKばかりでなく、政府と国会議員にぶつける必要があります。

NHK受信料制度の手本となっている英国では、政権与党である保守党が選挙でBBC受信料の廃止を公約に掲げ大勝し、この1月には保守党政権の閣僚が6年後の廃止を表明しています。今回の閣議決定にはこの件は全く触れられていませんし、この閣議決定について報じるテレビおよび新聞でも全く触れていません。NHKのためにならないことは、政府とテレビおよび新聞が協力して国民には知らせない作戦のようです。

こういう中でもこれらの事実を考慮してNHKはスクランブル化するしかないと考える国会議員が増えて来ると考えられます。NHKスクランブル化を望む人たちは、選挙でこういう人たちに投票する、NHK受信料制度を守る国会議員には投票しないことが必要です。これをしない限りNHKスクランブル化は実現しません。

今NHKスクランブル化賛成を明示しているのは自民党の小野田季美参議院議員だけでしょうか?高市早苗衆議院議員はNHK改革に熱心ですが、BS放送料金の撤廃の考えで、スクランブル化まで踏み込んでいないと思います。日本維新の会の足立康史衆議院議員もNHK改革に熱心のようです。こういう議員を探し出し、応援する必要があります。