岸田首相で分かる開成の教育は時代遅れ
岸田政権が誕生して4カ月が過ぎました。これまで批判を浴びる判断もなく、岸田首相の記者会見や国会答弁も理路整然として評判は上々のようです。ここまでの岸田首相の特徴は、相手の話を良く聞いて、相手の言うことが妥当性が高いとなれば、あっさりそちらを採用する点にあります。これは自分が言い出したことは間違っていても変えなかった安倍首相との対比で好感を持って迎えられています。ここに開成中高出身の秀才の一端が伺えます。
一方動向が流動的ないことについては、判断材料が集まるまで待ちの姿勢が目立ちます。例えばオミクロン株の感染拡大に対しては様子見を続け、第3回目のワクチン接種が進んでいないと言う批判を受けています。菅政権が河野太郎氏をワクチン担当大臣にして批判を受けながらも強引にワクチン接種を進めたのと対照的です。また佐渡金山の世界文化遺産推薦については、当初佐渡金山は徴用工の舞台となったとして韓国が反対していることを考慮し、様子見の姿勢でしたが、高市政調会長が世界文化遺産委員会の委員を日本が勤める今年承認を得ないと今後承認を得られる可能性が当面ないと指摘すると、あっさり推薦に踏み切りました。
このように岸田首相は判断材料が出尽くしていると判断できるのですが、判断材料が十分にないときは判断が遅れることとなっています。これから言えることは、岸田首相は、結論は出せるけれど、決断は下せないということです。これは学校秀才の典型的なパターンです。平時にはこれでよいのですが、有事には頼りないと思われることとなります。
岸田首相を見ていて、これが開成の欠点ではないかと思えてきました。開成中高には日本トップクラスの秀才が集まっていますが、教育としては東大に入るために正しい答えを出すトレーニングが中心となります。これは与えられた条件から正しい結論を出す訓練であり、限られた条件で決断を出す訓練ではありません。それに決断の場合は、実行力で結果が変わってきます。実行力は本人だけではなく、周りの人の協力が物を言います。開成では自分で努力する訓練はしても、周りの協力を得る訓練はしていません。その結果、開成出身者は周りを動かすのが下手のように思われます。即ちリーダーシップに欠けると言うことです。実際世の中を見回しても大きな組織の長に開成出身者は少ないように思われます。
人生の評価は、東大に入ったどうかで決まるものではなく、大学卒業後社会的にどんな地位を得たかで決まってきます。そう考えると、今後私立中高が高い評価を得るためには、社会で活躍できる人材を育成する必要があります。開成の今の行き方では、今後社会の高い評価を得ることは難しいと考えられます。開成は教育プログラムを見直す時期に来ていると考えらます。(これは有名私立中高一貫校全部に言えることです)