東西冷戦勃発で韓国は北朝鮮主導で統一される

ロシアのウクライナ侵攻に対する韓国の対応が米国およびNATO諸国の不信感を高めているようです。米国はロシアがウクライナを侵攻した2月24日、電子、コンピューター、通信機器、暗号装置、センサーおよびレーザーなどの分野で対ロシア輸出を広範囲に規制する制裁措置を発表しましたが、外国企業が米国の規制対象である技術やソフトウェアを使って作った製品に対しても適用対象としたため、各国はロシアに輸出する前に米商務省の許可を受けなければならなくなりました。米国はその後自主的に米国とほぼ同様の輸出規制を発表したEU、日本、オーストラリア、英国、カナダ、ニュージーランドの32カ国に対しては免除すると発表しました。一方対ロシア制裁に参加することをなかなか表明しなかった韓国はこの免除を受けられず、韓国企業が米国の輸出規制に該当する技術とソフトウェアで作った製品をロシアに輸出するには、いちいち米商務省の許可を取得しなければならなくなりました。

これに驚いた韓国は急いで米国の対ロ制裁と同様な制裁を行うと表明しましたが、これも実際は米国の制裁にごく一部のみ追従するものであり、この結果韓国が免除になるのは難しい見通しです(3月8日に免除になったようです)。

最近韓国は米国の政策に従わないことが多くなっています。昨年を見ると、先ずグローバル・サプライ・チェーン再編など対中けん制・圧力戦線に賛同して欲しいという米国の要請に対し、韓国は応じませんでした。また米国を中心に世界43カ国が国連で、中国の広範囲かつ組織的な新疆ウイグル自治区人権弾圧を非難しましたが、韓国は参加しませんでした。加えて米国が主導した北京冬季五輪の外交的ボイコットも、韓国は国会議長と文化体育観光部長官を派遣し、一線を画しました。

更に驚くことには、北朝鮮によるミサイル連続挑発を糾弾する米国主導の共同声明に、韓国政府が3回連続で加わっていません。北朝鮮が発射したミサイルはほとんどが射程距離数百キロメートルの韓国攻撃用であるにも関わらず、です。

これらの韓国の態度に対し米国政府内では反感を持つ関係者が増えているようです。韓国政府としては、中ロの機嫌を損なうのは経済的にも対北朝鮮政策からも避けたいという考えに基づく対応のようですが、袖にされた米国は面目丸潰れです。韓国の対応は、結果的に米国よりも中ロを選択していることになります。韓国の貿易相手国としては中国がトップですから、経済を重視すれば米国より中国を大事にするのは尤もです。しかし安全保障を重視すれば、こうはなりません。韓国は防衛予算に日本とほぼ同額の年間5兆3,500億円(2022年度)を投じ、独自防衛力を強化しています。これを背景に韓国は、在韓米軍が持つ対北朝鮮に対する軍事作戦の統帥権を韓国に渡すよう交渉をしているようです。

このような韓国の米国離れの動きに対して米国は、韓国が北朝鮮によって統一されれば、中国・朝鮮・ロシアという核兵器を持った3国軍事同盟ができることから、我慢に我慢を重ねている状況だと思われます。しかしアフガンから米軍が完全に撤退し、今回ロシアのウクライナ侵攻に対して米軍が動かなったことを見れば、北朝鮮が韓国に侵攻したとき、米軍が本気で韓国のために戦うかは疑問があります。多分ちょっと戦って速やかに日本または米国へ撤収する可能性が大きいと思われます。米国とNATOは相互防衛条約を結んでいますが、米国と韓国の関係は相互防衛ではなく、米国が韓国の安全を守ると言う片務防衛です。米国はアフガン撤退でこのような片務防衛は放棄しています。

韓国の最近の米国に対する対応は、韓国から米軍撤退を迫っているとしか思えません。ロシアのウクライナ侵攻により世界は中ロ対欧米の対立の構図が出来上がったと言われており、次は朝鮮半島が対立の最前線になります。韓国の態度では将来朝鮮半島は北朝鮮主導で統一されることになると思われます。