現代自動車が三菱自動車を買収する?

私は2月21日のブログ「トヨタが現代自動車に抜かれる日」に次ぎのように書きました。

「2月8日、韓国の現代自動車(ヒョンデ)が日本で販売を再開したという報道です。ヒョンデは2009年販売不振により日本での乗用車販売から完全撤退しており、12年ぶりの再参入ということです。販売車種は電気自動車(EV)のアイオニック5、燃料電池自動車(FCV)のNEXO(ネッソ)の2車種で、オンライン販売のみということです。従って量販を狙った再参入ではないことが分かります。また今後ディーラー網を作ることも難しいことから、日本国内で脅威になることもないと思われます。こういう中でヒョンデが日本再参入を果たしたのは、トヨタへの宣戦布告の意味合いが大きいと思われます。」

しかしヒョンデが電気自動車のアフターサービスを三菱自動車に委託するということを知って、量販を狙った進出かもしれないと思うようになりました。それは、三菱自動車は経営的にも苦しく、資本構成的にも中途半端だからです。三菱自動車は2016年燃費偽証問題から日産傘下に入りましたが、日産の株式持ち分は34%と中途半端です。それに2021年3月期に約3,100億円の赤字を出し、現在の自己資本は約5,000億円で有利子負債約4,500億円と近くなっています。これでは単独の生き残りは難しいのはもちろんですが、頼みの綱の日産も業績不振に苦しんでおり、大きな支援は望めません。一方日産と同程度の株式を保有している三菱グループとしては、融資などの資金支援はできても、三菱自動車の経営を引き受けることは出来ません。

日産が三菱自動車を傘下に置いたのは、三菱自動車が日産が弱いタイやフィリピン、インドネシアなどでシェアが高く、日産と補完関係にあったからです。一方国内は、売れる車は軽自動車ekシリーズのみという状態であり、販売網が疲弊していると言われています。日産、三菱グループおよび三菱自動車の今の状況を考えると、三菱自動車はもっとしっかりした企業の傘下に入りたいと思うでしょうし、日産としても三菱自動車を高く買ってくれるところがあれば手放したいでしょう。三菱グループとしても異論ないと思われます。

こんな中ヒョンデはぴったりの相手なのです。ヒョンデはかって三菱自動車から技術支援を受けていたようですし、三菱自動車はこれからヒョンデが日本で販売する電気自動車のノウハウも持っています。それにヒョンデおよび起亜の自動車を三菱自動車の販売網に載せれば、相当売れることが予想されます。少なくとも三菱自動車の販売店にとってはプラスとなります。これに東南アジアの販売網が付いてくるとなるとヒョンデにとっては申し分ないと思われます。問題は日産が三菱自動車の東南アジア販売網を手放さない可能性があることです。その場合、国内販売網だけをヒョンデに売却することも考えらます。この場合でもヒョンデはあっという間に日本国内に販売網を築くことになります。ヒョンデおよび起亜の車は世界で販売を伸ばしており、品質やデザインでも高い評価を得ています。日本では現在トヨタ1強ですが、そんなトヨタも販売店の車検不正やグループ企業日野自動車でのデータ偽装のような問題が出て、経営に綻びが見えます。ここはヒョンデにとってチャンスであり、ヒョンデによる三菱自動車買収が実現すればヒョンデが世界販売でトヨタを抜く可能性が高くなります。