NHK営業局の廃止は画期的

NHKは7日、営業局を廃止し新たに「視聴者局」を設置したと発表しました。同日記者会見した前田晃伸会長は「訪問によらない営業へ業務モデルを転換する。抜本的な改革を着実に実行し、成果を受信料値下げという形で視聴者に還元する」、値下げは2023年度の予定で、「今秋には具体的な内容を示せると思う」と述べたということです。

この報道を見て「前田会長なかなかやるな」という印象を持ちました。NHKの営業局は、受信契約の督促や受信料集金を担当しており、業務の中心は委託業者の管理です。これらの委託業者は夜遅くやってくる、しつこい、怖いなど受信料の是非と並び問題になっていました。NHKは受信料の公平な負担と称して長い間強化してきた部門でした。これを廃止するということは、並みのNHK会長では出来ないことです。

これを前田会長ができたのは、この関連費用が約600億円(2020年度は575億円、2019年度は627億円)かかっており、止めた方が利益は増える(減収は200~300億円?)という元銀行家らしい判断があったためと思われます。事実2021年9月中間決算を見ると、コロナ禍で訪問集金活動が出来なかったにも拘わらず、受信料は前年比97億円しか減少していません。同時に払わない人の理屈(NHKは見ていない、民放と同じような内容なのに何故払うなど)にも理解がないと踏み込めない決断です。と言うことは、前田会長は今のNHK制度に相当の疑問を持っていることは間違いないと思われます。高市現自民党政調会長が菅内閣になって総務大臣を辞めた後、「前田会長とはNHKに対する問題意識で一致している」と言っていたことは本当のようです。高市氏は、「BS放送は公共放送とは言い難く、これを受信料に含めるのはおかしい」と主張していますので、この点も前田会長は理解していると思われます。

こう考えると、2023年の値下げは少しサプライズがあるものになる可能性があります。私の予想では、一般放送ではなくBS受信料を下げて来ると思います。金額は利益を充てると言っていますので、100円~200円程度にしかならないでしょう。それよりもBSは公共放送とは言えないという流れができることに意義があります。

BS放送は民間の有料放送と同じ内容であり、これを受信料に含めるのはNHKの横暴です。そしてこれをNHK予算案の承認を通して承認しているのが国会議員です。国会議員が承認しなければ、受信料は決められません。NHKのスクランブル化を実現するには、今年7月の参議院議員選挙でNHK予算を審議し承認している参議院総務委員会所属の議員には投票しない、落選させることが必要です。