日本はNATOに加盟を
ロシアのウクライナ侵略に対して、日本は米国が主導するNATOとの協調姿勢を明確にしています。米国・NATOが決めたロシア制裁(国際的な決済ネットワークSWIFTからロシアの特定の銀行を除外、ロシア中央銀行の資産凍結、ロシアへの輸出規制、ロシアからの輸入規制、最恵国待遇の取り消し、プーチン政権と蜜月な富豪たちの資産凍結など)に同調していますし、ロシアがウクライナのブチャで行った虐殺については、岸田首相がロシアの戦争犯罪であると述べていますし、これに対してNATOがロシアからの石炭禁輸を決めたことに対しても、日本は石炭輸入を減らし将来0とするして歩調を合わせています。更にはNATOの一部の国が行ったロシアの外交官の追放にも追随し、8名のロシア外交官の追放を決めています。このような日本の態度に対してロシアは相当立腹のようで、ロシアの報道官は報復措置を明言していますし、ロシアの大物政治家が「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と述べるなど、ロシア国内において日本に対する反発が高まっていることが伺えます。そのためロシア太平洋軍は、艦隊が津軽海峡や対馬海峡を通過する、国後・択捉島で軍事演習を行うなどの示威活動を活発化しています。
今回の日本の対応は、2014年にロシアがクリミア半島を併合したときと大違いです。あのときは米国とNATO諸国が経済制裁を課したのに対して、日本は一部を実施しただけで同調しない姿勢をとりました。これは安倍首相がプーチン大統領と北方4島の返還交渉をしていることが原因でしたが、ロシアが4島を返還する理由がないことから返還は実現する可能性は少なく、むしろ日本がロシア制裁で米国・NATOに同調しないことによって、将来日本が中国やロシアと紛争となったとき、米国やNATOが日本を支援しない原因となることが危惧されました。プーチンが4島(あるいは2島)を返還する気がないにも関わらず安倍首相と27回も会ったのは、西側の結束を崩すためだったと思われます。そしてその試みが成功し、ロシアは経済政策の影響を殆ど受けなかったことから、今回のウクライナ侵攻に繋がったと考えられます。従ってクリミア併合の際の日本の勝手な対応が今回のウクライナ侵攻の一因になっていると言えます。今回の日本政府の対応は、このときの反省に基づくものと思われます。
今後世界は、ロシア・中国 VS 米国・NATOの対立構造が続くと思われ、日本は米国・NATO側に付くしか生きる道はありません。この対立構造の中でNATOはロシアと国境を接するだけですが、日本はロシアと中国の2国と国境を接しています。更に核保有国である北朝鮮の存在もあります。これを考えると日本は大変厳しい地勢環境の中にいることが分かります。これまで憲法9条を盾に防衛力の整備を怠ってきた日本は、駐留米軍におんぶに抱っこの状態です。今回のウクライナ戦争で米国が軍事介入をしないのは、ロシアが軍事強国であり、プーチンが核兵器の使用も辞さずと脅しているためです。これを日本に当て嵌めると、ロシア・中国とも軍事強国であり核保有国であることから、日本がこの両国と軍事紛争になった場合、米軍はウクライナと同じような態度をとる可能性が高いと考えられます。そうなると日本は今後独自防衛力を強化するしかないのですが、日本がロシアと交戦状態になった場合には中国が尖閣諸島に侵攻し、日本が中国と交戦状態になった場合にはロシアが北海道に侵攻すると考えられます。この場合、米軍の支援があっても困難な戦いとなります。ロシアの参戦を食い止めるには、ロシアが日本を攻撃すればNATOがロシアに参戦する体制が必要です。そのためには、日本がNATOに加盟する必要があります。アジアの国がNATOに加盟するのは無理だろうと思われますが、日本とNATOは東西からロシアを挟み込んでおり、軍事的にはとても重要な位置関係にあります。これによりロシアは軍隊を東西の一方に集中させることが出来なくなります。従って日本がNATOに加わることは、NATOにとって大きな利益があります。そしてこれは日本にとって中国およびロシアに対する大きな抑止力となります。今後日本の安全保障を強化するためには、NATOへの加盟が不可欠です。